認知症治療薬「レカネマブ」富山県内初投与 県立中央病院、進行抑制に期待
富山県立中央病院は26日、県内の医療機関で初めて、アルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の投与を始めたと発表した。昨年12月20日から公的医療保険が適用された薬で、認知症の進行を遅らせる効果が期待される。 同病院脳神経内科部長の島啓介医師(49)によると、治療を受けたのは、軽度のアルツハイマー型認知症と診断された県内の60代女性。26日に点滴で薬を打ち、今後は2週間に1回のペースで点滴を受ける。治療は1年半続けるという。 アルツハイマー型認知症は、脳内に蓄積した「アミロイドベータ」というタンパク質が神経細胞を傷つけることで起こるとされる。レカネマブは脳内のアミロイドベータを減らし、認知症の進行抑制を図る。脳のむくみなどの副作用が出る可能性もあるという。 標準の薬価は年298万円。軽度のアルツハイマー型認知症と、その前段階である軽度認知障害(MCI)の患者が対象となる。治療を受けるには、アミロイドベータの蓄積の有無や程度を調べる検査を受ける必要がある。
県立中央病院によると、同病院で治療を始めた60代女性の医療費負担は、初めの3カ月が月8万円。その後は半額になるという。 島医師は「アルツハイマー型認知症の初期段階には非常に効果が見込めるだろう」と話した。