映画タイトルになった「尼ロック」 建設契機は海抜0メートル地帯を襲ったジェーン台風の悲劇 アマ物語
5月のある日、「尼ロック」を通過する船の写真の撮影に出かけた。兵庫県尼崎港管理事務所施設課の伊野晃平副主任が「運が良ければいいですね」とほほ笑んだ。なんと、いつどんな船舶が通過するのか、予定は決まってないという。
1年365日、いつでも通過可能。もちろん無料。伊野さんによれば「どんな船でもOK。ボートでもカヌーでも」という。そういえば映画『あまろっく』の冒頭のシーンで、家族3人が白鳥の足こぎボートで「尼ロック」を通過しているが、本当にOKなのだ。 平成17年に完成した集中コントロールセンターから係員が24時間、目視で監視しているという。昼過ぎ、海の方から1隻の小さな船が向かってきた。すると海側の門が開き始めた。ところが、船は直前でUターン。冷やかし? 「けっこういらっしゃいますよ」と伊野さんは穏やかにいう。
そうこうしていると、運河の方から大型の貨物船がやってきて通過。すると今度は海側から、運河クルーズのボートがお客さんを乗せて通過していった。いい写真が撮れた。運がいいのかな。きっと「尼ロック」の優しさだろう。
■ロケ地マップも
映画『あまろっく』の上映を受け、あまがさき観光局は市内各所で「ロケ地マップ」を配布している。実は兵庫県先行上映が始まった4月12~14日に『世界で一番早い 映画あまろっく聖地巡礼 ロケ地ウォーク』を開催した。うれしがり? ホンマ気の早い、けどそこが「アマ」のええとこやん。
■笑って泣ける「あまろっく」
「尼崎企画」の取材をしていると、どこへ行っても映画『あまろっく』のポスターが目についた。阪神電鉄梅田駅や尼崎駅。尼崎市立歴史博物館、市役所、観光局…。筆者も兵庫県民(川西市)なので、4月12日からの先行上映を見に行った。いやぁ、笑った。泣いた。なんとも心地よい気持ちにさせてくれるええ映画である。
物語は尼崎市内で町工場を営む家族のお話。「人生に起こることは何でも楽しまな」といつも笑ってるお父ちゃん・近松竜太郎(笑福亭鶴瓶)。東京の大企業をリストラされ実家に戻ってニート状態の39歳の娘、優子(江口のりこ)。