全州国際映画祭で絶賛、少年映画の傑作「ショートホープ」11日から上映/大阪
第15回(2014年5月)全州国際映画祭インターナショナルコンベンション部門正式出品され外国メディアで賞賛された映画がある。堀口正樹監督作品「ショートホープ」だが、これは本人が自ら企画し、オリジナルの脚本も書き、製作資金を集め、自己資金まで投入してつくりあげたデビュー作だ。少年映画の傑作との評価も高く、そんな異色の日本映画が11日から大阪の「シアターセブン」(大阪市淀川区)で上映される。初日には堀口監督の舞台挨拶もある。
堀口監督は、1965年生まれ。大阪府出身。関西大学法学部卒業後、映画界入り。助監督として森田芳光監督や阪本順治監督らに師事。そして今年、「ショートホープ」でデビューを果たした。もともと昨年6月に映画は完成していたが、当初は公開の目途が立たなかったという。「ここで終わってしまうのかという不安があったんですが、今年になって公開と、韓国の全州(チョンジュ)映画祭での上映が決まったんです。自分の力を超えて、映画が動き出していく感じがありましたね」(堀口監督) 「ショートホープ」は主人公の少年を軸に、変わった人間模様を織りなし、独特の映像世界を構築している。このニューマンな作品の物語はこうだ。 ストリッパーを母親に持つ、小学4年生の児島和也(竜跳)―。里子に出されていたが、里親に待望の男の子が産まれると、愛情は実子に注がれ始め、和也は居場所を失う。そんな折、和也の母親の訃報が舞い込む。独りぼっちになった和也は生きる場所、希望を求めてまだ見ぬ父親を探す旅に出る。母親のヒモであった良輔(鳥羽潤)から得た僅かな手掛かりを頼りに、かつて母親と共に暮らしたことのある、横浜フランス座(ストリップ小屋)へと向かう。電車賃すらなく、蒲田から横浜までの道のりをひたすら歩く。 容赦なく照りつける真夏の太陽、そして期待していたものとはまるで違う現実の数々。和也が道中に出会う知的で病弱なホームレス、寂れたストリップ小屋の主人、父親の恋人と称する女…など、ままならない日々を生きる人たちとの出会いを通して、ようやく父親と対面を果たすのだが…。 都会に住む少年の生き方を斬新な視点で描き、愛とは何かを考えさせられる映画かもしれない。本作が初主演映画となる和也役の竜跳は、孤独な少年が戸惑いながらも成長していく過程を見事に好演している。 上映日程は「シアターセブン」(06・4862・7733)にて11日から31日まで。