養殖業の “希望の光に” 世界初の試み「水流発生で赤潮対策」 全国でも来年度から使用へ《長崎》
NIB長崎国際テレビ
長崎の養殖業に甚大な被害をもたらしている赤潮の対策に、“世界初の試み” で挑みます。 水流を発生させる装置を使った実証実験が、橘湾で行われました。
設置された装置は、海中で水流を発生させる「ジェットストリーマー」。 毎分2トンの水を噴出します。 長崎市の橘湾で始まった“世界初”の赤潮対策実験です。 海水温上昇などの影響で、県内では有害なプランクトンによる赤潮がたびたび発生。
去年は橘湾を中心にトラフグやシマアジなど82万尾あまりが死に、被害総額は約11億円に。 今年も伊万里湾などで発生し、被害総額はこれまでで最も多い16億円に上っています。 (説明) 「整流筒から、防除剤を混ぜた水が拡散される」
県は今年度から民間企業の技術を活用した赤潮対策を始めていて、実証実験は、東京で養殖事業などに取り組む「イービストレード」が行います。
ジェットストリーマーを使って防除剤を混ぜた水を噴出し、養殖いけすへの赤潮の侵入を防ぐとともに、侵入した赤潮に対しても、海底からの水流によっていけす全体に防除剤が行き渡る仕組みを整えました。
(長崎市たちばな漁協 松山 和昭さん) 「赤潮が出ると養殖業者はほぼ全員、漁協職員も船に乗って防除剤をまいていたが、海は広いし潮で流れるので、極端なことを言うと防除剤がいくらあっても足りない。いろいろ実験をしてもらって、漁協も協力して良い方向になればいい」
イービストレードでは、赤潮の発生予測システムと連携させて効率的な運用を行うとともに、超音波で赤潮を死滅させる実験も並行して進める計画です。
(イービストレード 寺井 良治社長) 「赤潮が起きると全滅という大変な被害になるので 我々の装置で解決できれば、漁業が発展し収益の面でも安定した収益になれば、漁業に従事する人が増えるのではないか」 ジェットストリーマーによる赤潮対策は、来年度から全国でも使用される予定です。