待機児童最少の2567人 過疎地域は充足率低下(こども家庭庁)
こども家庭庁は8月30日、4月1日時点の待機児童数が前年から113人減少して2567人だったと発表した。受け皿拡大や少子化を背景に、近年のピークだった2017年(2万6081人)の10分の1以下となり、6年連続で過去最少を更新。一方、過疎地域で定員充足率の低下が課題となっており、地域インフラとして保育機能を確保していくことが焦点になる。 全国の市区町村の約87・5%に当たる1524自治体で待機児童がゼロだった。一方、前年より待機児童が増えた自治体が109自治体あり、その半数近くが昨年度は待機児童ゼロの自治体だった。また、昨年度はなかった「待機児童100人以上の自治体」も発生した。 待機児童数を市区町村別でみると、大津市(184人)が最多で、兵庫県西宮市(121人)▽三重県四日市市(72人)▽東京都世田谷区と滋賀県守山市(58人)が続いた。 待機児童の要因は、申し込み者数の想定以上の増加▽保育士の確保難▽宅地開発による転入増▽急な施設の閉園――など自治体によってさまざまだ。同庁は「地域ごとの実情に注視が必要。自治体と連携しながら解消に向けて取り組んでいく」とした。 また、保育施設の定員充足率は低下傾向で、同庁が公表した4月時点の全国平均は前年比0・3ポイント減の88・8%。都道府県別では宮城や東京、大阪、福岡、沖縄などを除く36道府県が前年から低下した。最も低かったのは長野(76・3%)だった。 また、都市部と過疎地域の充足率を比較すると、都市部が91・6%だった一方、過疎地は76・2%で毎年差が広がっている。過疎地で今後、利用定員の縮小や施設の統廃合の進行が予想される。地域から保育所がなくなれば、一層少子化が加速しかねない。同庁は来年度予算の概算要求で、過疎地で多機能化のモデル事業に着手するための経費を盛り込んだ。