桂小春団治さん

今や当たり前のように皆が持っているのが携帯電話やスマートフォン。 ところが劇場、映画館では、この携帯電話は厄介な代物です。上演中に着信音やメールの受信音などが鳴ると、ほかのお客さんに迷惑がかかるので、開演前に必ず電源を切るか、音の出ない設定にお願いするアナウンスが流れます。 天満天神繁昌亭が開場して間もない頃は、携帯電話の電源の切り方が分からない年配の方のために、入り口のドアに携帯の写真とともに、「携帯のここを押すと電源が切れる」という案内を貼り付けていた時期もありました。 落語はお客さんの頭の中に物語の世界を構築するイメージ芸なので、着信音が鳴ると観客は一気に現実の世界に引き戻されてしまう。また、電源を切り忘れる人に限って、慌ててカバンの中を探すが、携帯が見つからずに長いことゴソゴソあさって、完全にほかの客をしらけさせてしまう。 落語の最中に最悪のタイミングで携帯が鳴ることもしばしば。それは、開演前はちゃんと切っているが、中入り休憩で再び電源を入れて連絡がないか確認した後、切り忘れてしまう。それでトリの一番いい噺（はなし）のときに会場内に鳴り響いて、噺を台無しにしてしまうのです。 うっかりさんがいる限り、寄席と携帯電話の戦いは今後も続きそうです。 さて恒例の独演会です。ぜひお越しを。朝日生命ホール（大阪市中央区）で11月30日（土）午後6時開演。小春団治「あんま炬燵」「普通の境界線（仮）」。問い合わせは松竹芸能（06-6258-8085）。