〈奥能登豪雨〉「生きとってくれ」 輪島、能登で捜索見守る
奥能登豪雨で行方や安否が分からなくなった人の捜索は、25日も輪島市や能登町で続けられた。消防、警察、自衛隊が懸命の活動を続ける中、無事を信じる親族は「生きとってくれ」と願い、見守った。住宅4軒が流された輪島市久手川(ふてがわ)町では女性の遺体が見つかり、夫が無念の思いを語った。 安否が分からなくなっている輪島市町野町寺地の中山美紀さん(31)の捜索は、美紀さんの軽自動車が発見された能登町鈴ケ嶺の周辺で行われ、消防、警察の約50人が河川や雑木林などを確認した。 近くでは、美紀さんの弟真(しん)さん(28)が見守った。真さんによると、脱輪していた美紀さんの車の中にはバッグはあったが、携帯電話はなかった。何度も電話をかけたがつながっていない。真さんは「姉は太陽のように明るい性格。どこかで生きていると信じたい」と話した。 久手川町の捜索現場では、土砂や流木に埋もれた白い車と、土に埋もれていた高齢女性が見つかった。車は安否が分からない井角祐子さん(68)が日頃使っていた。報道陣の問いかけに夫の隆(たかし)さん(71)は「あの日、祐子には家の2階にいろと言っていた。そしたら家が塚田川に流された」と説明。「朗らかで元気で、子ども、孫思いだった。ありがとうと言いたい」と涙をこらえた。 能登町北河内では、行方不明の60代女性の捜索が続いた。珠洲市真浦町沖では25日午後、七尾海上保安部などが行方不明となっている池田幸雄さん(70)の捜索を再開する。