車いすバスケ日本代表・鳥海連志 長崎商高で栄養講習会 「スポーツは体が資本」
車いすバスケットボール男子日本代表の鳥海連志(25)=長崎市出身=による栄養講習会(味の素主催)が11日、同市の長崎商高で行われ、全校生徒約720人が聴講した。鳥海は「僕は練習を1回やると体重が1キロくらい減る。食事プラス、足りない部分をゼリーや補食で補う。スポーツは体が資本」と食生活の重要さを説いた。 鳥海は手脚に先天性の障害があり、3歳で両下肢を切断した。車いすバスケットとの出合いは大崎中1年時。パラリンピックは2016年リオデジャネイロ大会、21年東京大会に連続出場して、東京大会では日本初となる銀メダルを獲得してMVPに輝いた。今夏のパリ大会は大陸予選で敗退して出場を逃した。 この日の栄養講習会は味の素が鳥海のスポンサーを務め、さらに鳥海の妹の芭奈さん(16)が同校に通っている縁で開いた。質問タイムでは、芭奈さんが挙手した生徒へマイクを持って走るなど兄妹が共演。「奥さんの料理で何が好きですか」という質問に、鳥海は「豚汁やまぜご飯。時間がない時にたくさんの栄養を取れる料理を考えてくれる」と答えた。 講話後はスポーツビジネスコースの1、2年生約70人と一緒に車いすバスケットで汗を流した。 ◎ロス大会に向けて 鳥海「これから全盛期つくる」 日本の車いすバスケットボール界をけん引する鳥海連志。11日に長崎商高で開かれたイベントや囲み取材で、今夏のパリ・パラリンピック出場を逃した悔しさや今後の方針などを語った。 -21年パラ東京大会で銀メダル。今夏のパリ大会は1月のアジア・オセアニア予選準決勝で日本がイランに敗れて、出場できなかった。 応援してくれたファンやサポートしてくださる方に本当に申し訳ない。思いに反して、40分であっけなく結果が出てしまった。こんなあっさり負けちゃうんだなというのがリアルな感情。パラ本番は現地にいた。各国が戦う姿をアリーナで見ていて、恥ずかしさといら立ちが込み上げた。僕はここにいないのはあり得ない。僕のための舞台なのに何でいないんだという思いだった。 -東京大会からの3年間は、あえて国内にとどまって日本全体の底上げと競技普及に意欲的に取り組んだ。 年4回程度の3x3の大会を主催して3年目に入る。多くの方に見てもらい、やってもらう機会はつくれていると思う。継続したい活動の一つ。同時に(日本のためには)僕自身がどれだけ成長できるかがカギ。国内だけでなく、海外に視野を向けて一番成長できる環境に身を投じることが必要だと感じる。 -その一環で今年6~11月に韓国リーグに挑戦。参加したチームはレギュラーシーズン1位、チャンピオン大会2位の結果だった。 海外リーグで、また違うバスケットボールを学ぶという機会を今は大事にしている。まだはっきりは決まっていないが、(来年も)継続して韓国リーグに行くか、欧州に拠点を移すか。日本に残る確率は低い。 -車いすバスケの普及に合わせて競技レベルも急速に上がっている。 世界でも国内でも、10代の選手が各国を代表してプレーしている。僕自身も今までは下からプレッシャーを与える側だったけれど、今は次世代に対して真っ向勝負をするステージに入っている。 -4年後のロサンゼルス大会に向けて。 なりふり構わずにしっかりと結果を持ってきたい。環境もモチベーションも、やれることを最大限やって、これから全盛期をつくる。