英国田園のラグジュアリーホテル、環境配慮にもこだわり
■園芸の専門家チームによる美しいガーデン
このエステート最大の魅力は、価値の高い英国の「ガーデン」にあろう。著名な建築家兼景観デザイナーであるパトリス・タラベラが設計を手がけた幾つもの庭園は、現在、園芸の専門家チームによって管理されている。ガーデン史に触れるストーリーを聞きながらの庭園散策が楽しめるのも興味深い。 この広大な庭園に携わる植栽の専門家は合計で45人ほどが働いている。専門知識を持つ彼らガーデナーが、観賞用庭園、ウッドランド、食用庭園(菜園も含む)、育苗担当の4チームにわかれて庭造りに従事。彼らの中には庭師のひとりとして日本人女性、石田麻衣子さんが働いている。彼女は英国の庭園学を学び、知識も豊富な専門家として雇われている。 どこまでも手を抜かない施設造りや、常に未来へ向かって進化を続ける躍動感のあるエステートが、ロンドンっ子のみならず、世界のトラベラーに憧れを強く抱かせているのだろう。
■再生農業の実践や野生生物の保護も
これほど広大な敷地では「環境対策」と一言では言えないほど、こまごまとしたプロジェクトが進行中だ。ここに幾つかの代表的な例を挙げてみる。 ・従業員のケア:栄養、学習機会、トレーニング、サポートを提供し健康的なライフスタイルを奨励。社員食堂では、全従業員に栄養価の高い温かい食事を提供 ・労働力の多様性を奨励:学校やカレッジと協力し、あらゆる背景を持つ若者に機会を創出 ・ゴミの削減:主に農園で栽培または飼育された農産物を使用し、フードマイレージを最小限に抑え、プラスチックの使い捨てを減らし、廃棄物を削減 ・ガーデニング、エンジニアリング、ホスピタリティの分野で見習い職を提供 ・ソーシャル事項:地域住民、サプライヤー、企業と強い関係を築く。地元の村の取り組みやイベントに貢献し地域社会の繁栄を支援 ・ゲスト向けに:「ザ・ニュート イン サマセット」を訪れるすべての人に、ウォーキングやサイクリングを通じて、自然とつながることを奨励。そのための歩道やアクセスを整備 ・再利用とリサイクルの奨励 : 雨水の利用、レストランでの詰め替え可能な水ボトルの使用、eコマースの配送用段ボールの再利用、リサイクルのためのゴミの分別、敷地内で再利用するための緑ゴミの堆肥化、薪の伐採と味付け、建築用骨材の再利用 ・再生農業:土壌の健全性と生物多様性を向上させる。庭や森林から出る廃棄物を利用して、年間約250立法メートルの堆肥を作る ・森林・樹木:大規模な植樹、森林、生垣の管理。多様で自生的な生息地の保全と促進 伐採した木材を暖房に利用 ・野生動物:生物のモニタリングと管理を行い、希少種や絶滅危惧種が繁栄できるよう再導入 ・栽培作物への人工肥料や化学薬品の使用をゼロ ・農園で栽培したサイレージ、干し草、大麦、豆類を牛に与えている。外部飼料は糖蜜やミネラルなどのサプリメントのみ ・大規模な工業用建物に太陽電池を設置。敷地全体で電気自動車を使用し、すべての駐車場に充電ポイントを設置し、スタッフや訪問者にこの技術の使用を奨励 ・再生可能エネルギー:バイオマス、空気熱源ヒートポンプ、地中熱源ヒートポンプ、太陽電池などの使用推進。水はボアホールから取水され、新しい雨水貯水池に集積。複雑で高度な灌漑システムにより庭園全体の水使用量を最小限にし低流量器具で水を節約。建物は、エネルギー消費と熱損失を削減するため、断熱材や先進的な素材を取り入れた高い仕様で建設。暖房にはバイオマスボイラーを使用