マスク、X(旧ツイッター)の「ボット粛清開始」を発表
イーロン・マスクとX(旧ツイッター)は、2022年にマスクが同社を買収する前から同プラットフォームに存在し続けていたボットの一掃を開始すると米国時間4月4日に発表した。これは、偽アカウントの撲滅に苦戦してきたマスクによる最新の取り組みとなる。 2022年にツイッターを買収する前に「スパムボットに勝つか死ぬまで戦う」と述べていたマスクは、米国時間4月4日にボットとトロールの「システマチックな一掃」が進行中だと述べ、Xはそうしたアカウントの責任者を追跡し「法の全力をもって彼らに対処する」と述べた。 Xのセーフティアカウントは、マスクの投稿を数時間後にフォローし、不正操作やスパムのルールに違反するアカウントの排除や、その結果フォロワー数が変化する可能性があることをユーザーに伝えた。 Xはこれまでにもボットの問題に取り組んできた。昨年、フィリピンとニュージーランドの新規ユーザーを対象に「Not A Bot(ボットではない)」プログラムをテストし、基本機能の利用に年間1ドル(約150円)の料金を課した。同社ブログによると、このプログラムの目的は「ボットやスパマーへの防御」だった。 Xは昨年10月に 「Not A Bot」プログラムの開始を発表した後「近いうちに結果の詳細を共有する」と述べていたにもかかわらず「Not A Bot」プログラムの結果がどのようなものであったかは明らかになっていない。 Xはまた昨年、既存の月額8ドル(日本では980円)の有料プランに加え、月額3ドル(同368円)と16ドル(同1960円)の新たな2種類の有料プランを導入した。マスクは以前、これらの有料プランがボットやトロールを撃退する「唯一の方法」だと述べていた。
正規アカウントを誤って停止させてしまう問題も
ボットの排除には波乱もあった。1月にマスクがツイートしたところによると、Xのスパム/詐欺対応ボットが正規のアカウントを誤って停止させてしまう問題が発生したが、それは修正されつつあるという。米国時間4月4日の投稿でも、正規アカウントが誤って停止された場合は彼またはエンジニアに知らせるよう利用者に呼びかけている。 Xプラットフォーム上のボットの正確な数は明らかになっていない。ただし、研究者やサイバーセキュリティ専門家は、2024年スーパーボウルや共和党の第1回大統領候補者討論会、タッカー・カールソンの元大統領トランプへのインタビューなど、話題の出来事の際にボットの活動が増加していることを指摘している。 Xはプラットフォーム上のボットの数を公表しておらず、ボット一掃の結果を共有する意向があるかどうかも明らかではない。 フォーブスの推計によると、マスクの純資産は1933億ドル(約29兆2300億円)で、アマゾンのジェフ・ベゾスとLVMHのベルナール・アルノーに次ぐ、世界で3番目に裕福な人物だ。 偽アカウントは、マスクがツイッターを440億ドル(約6兆6500億円)で買収する前から同プラットフォームの問題となっていた。ハイテクの億万長者であるマスクは、買収に先立ち、ボットの除去を最優先すると述べていた。これは、ツイッターの買収に関連する法的手続きの中で争点となった。ニューヨーク・タイムズによると、マスクは、プラットフォーム上のボットの数を開示するようツイッターに要求したが、弁護士を通したこの要求は拒否されたという。 ツイッターをXにリブランドしてから、マスクはフェイクアカウントの問題を抑制するのに苦労しているようだ。批評家らは、ボットと戦うためにプレミアムアカウントを立ち上げようとするマスクの試みは完全ではないと述べ、悪意のある人物やボットアカウントの背後にいる人物が8ドルのプレミアムティアに付属する認証バッジを購入して使用し、他のユーザーをだますことができると主張している。同プラットフォームは昨年夏、認証済みのスパマーが、フォローしていないユーザーにダイレクトメッセージを送っていたことを認めた。これは認証されたユーザー、またはX上で誰からでもDMを受け入れているアカウントにアプローチするユーザーだけが行うことができる。
Antonio Pequeño IV