石破首相選出、第2次内閣発足へ 少数与党で逆風下の政権運営
Yoshifumi Takemoto [東京 11日 ロイター] - 衆議院は11日午後の首相指名選挙で、第103代首相に自民党の石破茂総裁を選出した。石破氏はこの後、直ちに組閣に着手、皇居での親任式・認証式を経て第2次石破内閣が11日中に発足する。 <30年ぶり決選投票、第2次内閣発足へ> 衆議院の首相指名選挙は1回目の投票で決着がつかず、石破首相と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票となった。首相指名選挙での決選投票は、村山富市首相(当時)を選出した1994年以来30年ぶり。 衆院の投票総数は465票(過半数233票)で第1回投票では石破氏221票、野田氏151票と上位2人がいずれも過半数に満たず、決選投票では石破氏221票、野田氏160票、無効票84となり、最多票を得た石破氏が首相に指名された。 参議院の首相指名選挙では1回目の投票で石破氏が過半数(120票以上)を獲得した。石破氏の獲得票数は142、野田氏は46だった。 石破氏は直ちに組閣に着手する。衆院選で落選した農相、法相を含む3閣僚以外は再任される見込みで、皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、自民、公明両党連立による第2次石破内閣が11日中に発足する見通しとなっている。与党幹部によると、農相には江藤拓氏、法相には鈴木馨祐氏、公明党代表に就任した斎藤鉄夫氏に代わる国交相には同じ公明党の中野洋昌氏を起用する方針。 <少数与党に待ち受けるハードル> 少数与党に転じた自公は、策定中の2024年度補正予算案や25年度予算案を含む全ての予算・法案の実現に野党の協力が不可欠となる。 自民党はすでに衆院選で議席を4倍に増やした国民民主党と政策面で協議を進めている。国民民主が求める年収103万円の壁撤廃やガソリンを含む自動車関連税の引き下げは巨額の財政支出を伴うため、どこまで要求をのめるのかが焦点。自民党内では国民民主以外に維新などとも政策連携を模索すべきとの声も出ているが、来夏の参院選を控え、野党側も政権との安易な妥協は避けたい状況で、維新側は正式協力を拒否している。 与党内には来年夏「衆参ダブル選挙決行によるねじれ解消」を求める声があるが、「世論の自公離れは半年程度では終息しない」(自民関係者)との慎重論も多い。とりあえず「参院選後に自公に国民民主を加えたい」(自民幹部)との声が出ている。 ただ、党内基盤が弱い石破氏の政権運営や支持率の動向次第では、参院選前に首相交代の機運が高まる可能性も否定できない。 国会運営も困難となりそうだ。衆院予算委員長など国会内の重要ポストを野党側に譲歩せざるを得なかったこともあり、「25年度予算案は3月末までの成立は不可能。4月以降に首相の進退と交換になる可能性がある」(自民幹部)との見方も浮上している。 一方、米国ではトランプ氏の大統領再選が決まった。与党内には故安倍晋三元首相と比べて石破氏とトランプの関係を不安視する声もあるが、「結果次第で石破氏の支持率反転につながる可能性も否定できない」(同幹部)との見方もあり、政局の先行きは流動的だ。