日本最短6戦目での世界王座奪取に挑む井上尚弥「100%勝てるイメージができた」
――ボクシングは、自分に向いていると思いますか? 「あまり考えたことはないですが、向いていると思うからやっていると思うんです。自分は、プロでの1試合、1試合を作品だと思っています。その6試合目が世界戦というだけで、試合に向ける意気込みは、毎回、変わらないんです。プロは、そうでなければならないと思っているんです。確かに、今回のモチベーションは、これまでに比べて高く、集中しているし、一日、一日の充実感が全然違っています。相手のレベルも、これまでと数段違っています。でも、これまで相手のレベルを見て、怠けたか、調整をいい加減にしたかと自問しても、それはないんです」 ――世界ベルトを腰に巻いたときに何か証明されるものはありますか? 「自分のボクシングですけど、やっぱ、小1からお父さんとやってきて、そのボクシングが正しかったということを証明したいですね」 ――少しのアマチュア経験しかない、お父さんの真吾さんが専属トレーナーで、二人三脚、いや、今回、前座カードでプロ2戦目に臨む弟の拓真選手と三人四脚で歩んできたボクシング人生でした。当初、通っていたジムが閉鎖するということから、お父さんが、自分でやっていた塗装業も止めて、貯金をはたいてジムを開いたそうですね。そのときは、どんなことを考えましたか。 「そこまでしてくれた家族に感謝の気持ちでいっぱいでした。弟と2人で、絶対に俺らがボクシングで成功しなければと、覚悟を決めたことを覚えています」 ――以前、世界のベルトを長く持ちたいという夢を聞きました。 「統一戦より自分に合った階級で、ベルトを長くも持ちたいんです。本当の強さというのは、そこで証明される気がします。具志堅さんの13度防衛記録は目標にしたい。でも、減量のきつい、ライトフライでは無理(笑)。長期防衛は、ひとつ(階級を)上げてからですね」 (聞き手・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)