日本最短6戦目での世界王座奪取に挑む井上尚弥「100%勝てるイメージができた」
――自分への期待と緊張と不安。心の中に、その3つの輪があるとすれば、今は、どの輪が大きいですか? 「元々、緊張はそんなにしないタイプなんで、自分への期待が一番大きい輪ですかね。でも不安がないというと嘘になります。怖さはないのですが、不安は、これまでの5戦になかったものがありますね」 ――その不安をどういう作業で打ち消すのですか? 「ここまでは、練習で打ち消すものだと考えていました。でも、今、こうして試合が目の前に迫って来ると試合に勝つイメージを持つこと。もう100パーセント勝てるというイメージができています」 ――6戦目の日本最短世界奪取記録についての意識は? 「記録に対する価値観はそんなにないんです。僕は何戦でも良かったんです。記録がある以上、作りたいとは思いますが、記録を意識しすぎて自分にプレッシャーはかけたくない」 ――史上初の高校生アマチュア7冠を達成。デビュー前から世界ランカーをスパーリングで倒して、2012年10月のデビュー以来、国内最短タイ記録での日本、東洋太平洋王座獲得と記録ラッシュで、ここまで来ました。人は、あなたを天才とかモンスターと呼びます。 「モンスターという呼び名は、そろそろ、やめてほしいのですが(笑)、自分で自分を天才と思ったことはありません。僕のスパーを見ていてどうですか? 天才的な動きはないでしょう? 天才は、こんなボクシングじゃないですよ」 ――ステップバックと、ステップイン、距離感にパンチのタイミング……天才だと思います(笑)。では、井上尚弥選手が、天才だと思うボクサーは誰なんですか? 「何かを達成したかどうかは別にして、東農大にいる青木さんというボクサー知っていますか?」 ――去年の全日本をフライ級で優勝した東農大の青木貞頼さんですね。サウスポーで、相手に打たさず、攻守にメリハリのあるボクサーですね。 「ああいうボクシングが、ある意味天才だと思うんです。青木さんは、高校1年から、ああいう動きをしていた。あれは教えられてできるものじゃないと思うんですよ」