本当に「高齢者の生きがい」だけが目的か? シルバー人材センターの実態
シルバー人材センターの本当の目的は労働力の確保か
現在、日本の総人口のうち高齢者が占める割合は25%。さらに2060年には、40%に達すると言われています。圧倒的に労働力が不足しているなか、じき高齢者も貴重な働き手のひとりとして数えられることになるでしょう。今回、シルバー人材センターの労働時間規制が見直されたのも、農作業や介護など人手が不足している分野で高齢者を活用したいと考える自治体からの要望があったため。こうした現実と「労働者の生きがい」を建前とした運用形態の間に矛盾が生じているのが現在の状況です。 政府は15年11月に行われた、「一億総活躍国民会議」でシルバー人材センターについて「地域の実情に応じた高齢者の社会参加を促進するための制度の見直しを検討する」と言及しています。ですが、高齢者を労働力の頭数とみなす以上、労働時間の拡大だけでなく、社会保障の適用や待遇面の向上など改善すべき余地はまだまだありそうです。 (松原 麻依/清談社)