原油相場、今後はどうなるか-イランの攻撃後の市場関係者の見方
(ブルームバーグ): 原油先物相場は、イランによるイスラエルへの前例のない攻撃によってほとんど動かなかった。トレーダーらはこうした価格の伸び悩みについて、攻撃が事前に十分に伝達されていたという見方や、紛争が引き続き抑制された状態にとどまるとの見通しを理由に挙げている。
ブレント原油伸び悩む、イランのイスラエル攻撃で一時は91.05ドル
イスラエルが今回の攻撃への対応を検討する中、市場関係者の今後の見通しに関するコメントは以下の通り:
ゴールドマン・サックス・グループ
ゴールドマン・サックス・グループのアナリスト、ダーン・ストライブン氏らはリポートで、週末のイランによる攻撃以前から、「供給の下振れリスクに伴い、原油には既にバレルあたり5-10ドルのリスクプレミアムが反映されていると推定している」と分析。「イランの攻撃に対するイスラエルの対応の可能性は極めて不透明だが、域内の原油供給への脅威の大きさを決定する可能性が高い」と指摘した。
INGグループ
INGグループのストラテジスト、ウォーレン・パターソン氏とエワ・マンティー氏はリポートで「市場は既に何らかの攻撃を織り込んでいたが、被害が限定的で、人命が失われなかったことは、イスラエルが比較的慎重な対応を取る可能性を意味する」とした上で、「イスラエルがどのように対応するかは今や重要な不確定要素だ」と指摘した。
原油については、「第一のリスクは、イランに対する原油制裁がより厳格に実施されることで、日量50万-100万バレルの原油供給が失われる可能性がある」と指摘。その他に可能性がある展開は、イスラエルがイランのエネルギーインフラを攻撃したり、イランがホルムズ海峡を封鎖したりすることだという。
RBCキャピタル・マーケッツ
ヘリマ・クロフト氏を含むRBCキャピタル・マーケッツのアナリストによれば、イランによる攻撃に対するイスラエル政府の対応次第で、事態が戦争拡大につながるか、エスカレーションのリスクが低下するかが決まるという。イスラエルが大規模な報復に踏み切った場合、不安定化の連鎖を引き起こす可能性があるという。