パウエルＦＲＢ議長

（ブルームバーグ）： ９月の米利下げがほぼ確実視され、将来の金利引き下げペースに関心が向けられる状況にあって、米金融当局者はインフレとの闘いの最後の１マイルに当たり漸進主義のアプローチでまとまりつつある。

数人の当局者は先週のジャクソンホール会合（カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム）に際し、「漸進的」ないし「整然とした」方法で利下げを行うべきだとの認識を表明。この秋に少なくとも１回は通常よりも大幅な利下げが行われるとの投資家の観測を押し返した。

近く米利下げ開始を、「漸進的で整然としたペース」で－２連銀総裁

インフレ率はまだ完全には２％の当局目標に回帰していないと当局者が指摘する一方、労働市場には脆弱（ぜいじゃく）さを示す兆候が見られるものの広範囲にわたるレイオフは行われておらず、当局による積極的な対応はまだ不要というわけだ。

ドイツ銀行の米国担当シニアエコノミスト、ブレット・ライアン氏は「『整然とした』『漸進的な』『注意深い』といった種類の単語は当局者が方向転換しているときに発する表現だ」とし、「当局者としては手探りしながら、比較的ゆっくりとしたアプローチを取りたい考えだ」と解説した。

漸進主義は不確実性が高い局面で米金融当局がこれまでにも採用してきた戦略の一つだ。１回につき0.25ポイントずつの利下げペースとしたい考えを示唆するものだが、パウエル連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長が今回こうしたアプローチを支持する声に加わっていない点は注目に値する。

議長はハト派傾斜

パウエル議長は労働市場に深刻な痛みを引き起こすことなく、インフレ率を押し下げることに自身のレガシーを賭けている。

議長が同会合で23日行った講演では、９月以降にどのようなペースで金融当局が行動する見通しであるかは言及がなかった。

さらに、雇用情勢が急激に悪化した場合、積極的なアプローチを取ることについて、他の幾人かの当局者よりもオープンな姿勢であることがうかがわれた。