知事マニフェストから消えた「脱原発」…なぜ? 再選後初の定例会見で明かした意図「誤解生じる表現はしない方がいい」
鹿児島県の塩田康一知事は19日の定例会見で、2期目のマニフェスト(政策綱領)に「脱原発」の文言を盛り込まなかった意図を問われ、「言葉の意味が、即廃炉から再生可能エネルギーを増やすことまで受け取る人によって幅広い。誤解を生じる表現はしない方がいい」と述べた。 【写真】〈関連〉記者の質問に答える塩田康一知事=19日、県庁
初当選時のマニフェストには「脱原発への対応」との項目を設けていた。今回は「脱炭素社会の実現」と「安心・安全な県民生活の実現」の項目に、エネルギー関係を記載。再エネの推進、九州電力川内原発(薩摩川内市)の3号機計画凍結などは「1期目と中身は変わっていない」と説明した。 運転延長に入った川内原発については「安全性の確保が最優先だ」と要望。選挙前に示していた、新規の原発や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場を県内に受け入れない意向に変わりはないと改めて強調した。 ◇「物価高上回る所得拡大を」稼ぐ力の重要性強調 鹿児島県の塩田康一知事は19日、知事選で再選後初となる定例会見を開いた。人口が減少する中、地域の活力を維持・発展させるために稼ぐ力の向上が重要だと改めて強調。「物価高を上回る所得の拡大が(県民が稼ぐ力の向上を実感する)基準になる」と述べた。 総合的な経済指標とされる2021年度の県民経済計算によると、1人当たりの県民所得は260万5000円で全国(315万5000円)の8割程度。塩田知事は「300万円を一つの目安とし、上げられるだけ上げたい」とし、「賃金や所得が拡大すると、若者が地域に残る好循環につながるのではないか」と話した。
知事選マニフェスト(政策綱領)では、農林水産や観光産業、企業の稼ぐ力の向上を柱に据えた。今後の取り組みとして、「スマート農業の導入による生産性向上や国際路線の新規開設、若者への起業支援も行う」と述べた。物価や燃料価格の高騰、人材確保を喫緊の課題に挙げ、「鹿児島は中小企業や零細企業が多い。賃上げの原資を出すには生産性や付加価値の向上が必要」とした。
南日本新聞 | 鹿児島