7月期ドラマは“柄本一家”が大活躍! 『新宿野戦病院』『光る君へ』『錦パラ』での存在感
『光る君へ』柄本佑&『錦糸町パラダイス』柄本時生が担う“役割”とは?
放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)の柄本佑、『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(テレビ東京系)の柄本時生もまた、それぞれの作品の世界観を提示する役どころを担っている存在だと感じる。いや、この2作における彼らは確実にその任に当たっているだろう。 『光る君へ』はあの『源氏物語』を執筆した紫式部(吉高由里子)の生涯を描くもの。『源氏物語』の主人公である光源氏のモデルのひとりとされているのが藤原道長であり、これを演じているのが柄本佑である。紫式部に寄り添った視点で綴られる『光る君へ』の世界観の中心に立っているのが藤原道長なのだから、本作における柄本佑は、その世界観をもっとも体現する存在だといえるはずである。 いっぽう、『錦糸町パラダイス』における柄本時生は、俳優としての参加はもちろんのこと、彼が企画・原案の段階から携わっているのだという。物語の舞台はタイトルから分かるとおり錦糸町で、この街で掃除屋を営む青年たちの日々が綴られていく。柄本時生が演じている今井裕樹は、事故により車椅子での生活を余儀なくされている人物で、心優しい気遣い屋。劇中の錦糸町にはゆるやかな時間が流れているのだが、この街の表情と今井裕樹の表情は、どこかイコールでつながるものを感じる。本作における柄本時生もまた、作品の世界観を体現しているのだ。 各作品ごとに俳優たちは自身の役割を持っているわけだが、作品の世界観を提示する役どころというのは、誰にでも務められるものではないだろう。豊かな経験と、磨き上げた技術、ほかの者にはない個性。そしてやはり、的確なポジショニングのセンス。この三者にはすべてが揃っている。いまこの一家に、誰もが魅せられているのだ。
折田侑駿