ニュージーランドの湖畔で自給自足ライフ! ミリオンヒット連発のプロデューサーが環境保護アンバサダーになった理由【前編】
ようやく変わりつつある日本人の環境意識
国連によってSDGsが採択されてから意識が徐々に変わってきた日本。けれどもニュージーランドでは、SDGsというワードを聞くことはほとんどないという。 「もともと、そういう概念が当たり前にあるからなんでしょうね。ボクは学生時代から、ずっと環境問題について声を上げてきたんですが、当時は『反体制派』なんて呼ばれていましたから(笑)。けれどいまでは、みんながボクの話を聞いてくれる。ニュージーランドに移住した2010年当時は、『自給自足で暮らす? 世捨て人とかヒッピーみたいな感じ?』などと言われていたのに、ここ数年は『サステナブルな暮らし? 自給自足? 詳しく教えてほしい!』といろんな人が身を乗り出すようになったんです」 戦後の焼け野原から立ち上がり、高度成長を遂げながら走り続けてきた日本。何もなくなったところからモノを生み出し、所有することが幸せや豊かさに直結してきた。 「これ以上便利になる必要はないのに、いつの間にかそのリミッターを越えて拡大・成長を続けてしまったんでしょうね。その結果、消費依存、商品依存が進んでしまった。食べモノや着るモノ、水ですら商品として買う時代になり、タダなのは空気くらいのものになってしまっています。モノを買うために働くのが当たり前で、しかも基本的に、仕事とは苦しくてガマンしなくてはならないものになっている。ですから食料を自分で調達し、壊れたものは自分で直すといった自給自足の生活を話しても、長らく理解されませんでした」 長年、環境問題にかかわってきた四角さん。ただ自然破壊も環境への負荷も、誰かがそうしたくてやったわけではない、と語る。 「経済を成長させようとしたら、結果として自然を削ったり環境に負荷がかかったりしてしまった。だから環境破壊に対して、誰も責めたくないんです。ただ、軍事産業と違い、環境活動は平和活動と同じで利潤を生み出さないから、産業にはならない。私たち市民が連携して進めていくしかないんですよね」 ――次回は、日本で生きる私たちが心地よく暮らすためのヒントを伺いますーー 四角大輔■1970年大阪府生まれ、執筆家。環境保護アンバサダー。大学卒業後にソニーミュージックに入社、10回のミリオンヒットを記録する名プロデューサーとして活躍する。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住、ポスト資本主義ともいえる自給自足ライフをスタートさせる。公式サイト(daisukeyosumi.com) photo:横江淳、text:萩原はるな