【確定申告】副業収入「300万円超」でも“帳簿なし”なら雑所得!? 納税額が大きく変わる「事業所得か、雑所得か」の分かれ目【税理士が解説】
確定申告の計算上、副業収入は「雑所得」にも「事業所得」にもなり得ますが、どちらと見なされるかによって納税額は大きく変わります。事業所得であれば青色申告特別控除(最大65万円)が受けられ、赤字なら損益通算できる一方、雑所得と見なされた場合は青色申告特別控除は受けられず、赤字でも損益通算できません。板山翔税理士が「事業所得か、雑所得か」の判定方法や、事業所得として認められるための条件を解説します。
――会社員をしながら副業もしているのですが、副業の年収がいくらまでなら雑所得で、いくらから事業所得になるのでしょうか? 板山翔税理士:「帳簿を保存しておらず、かつ副業の年収が300万円以下なら雑所得と判定されてしまいます。しかし、きちんと帳簿を保存していれば、副業が事業的規模なら事業所得、そうでなければ雑所得となり、年収は規模を判断する要素の一つにすぎません。そこで本稿では、事業的規模か否かの判定方法を具体的に解説していきます。」
「300万円以下は雑所得」という“年収だけの判定”は見直しへ
YouTube「税理士ショウの超わかりやすいビジネスQ&A」>> 副業が事業所得であれば青色申告特別控除(最大65万円)が受けられ、赤字の場合は給与所得など他の所得と損益通算できます。 一方で、雑所得と見なされてしまうと、青色申告特別控除は受けられず、赤字であっても損益通算できないので、納税額に大きな差が出てしまいます。 副業が事業的規模か否かで事業所得か雑所得かが決まるわけですが、では何をもって事業的規模といえるのか? 法律で細かく定められているわけではないため、どちらの所得に該当するのか、過去に何度も裁判で争われてきました。 この混乱を防ぐため、国税庁が2022年8月1日に、「副業収入が300万円以下なら、基本的に雑所得として取り扱うことにしてはどうか?」といった旨のパブリックコメントを出しました。 しかし、「政府の副業推進に逆行するものでないか」といった批判的な意見が多く寄せられたため、年収だけで判定することはなくなりました。 では私たちは、いったいどうやって副業が事業所得か雑所得かを判定すればいいのでしょうか? これについては、まず年収と帳簿の有無によって形式的に判定したあと、それで判定できなければ、5つの要素を総合勘案して実質的に判定するといった具合に、2段階に分けて判定していきます。 本稿ではこのやり方を具体的に解説していきます。