【確定申告】副業収入「300万円超」でも“帳簿なし”なら雑所得!? 納税額が大きく変わる「事業所得か、雑所得か」の分かれ目【税理士が解説】
【判定2】の「5つの要素」とは?
最後にこの5つの判断要素について、もう少し詳しく解説していきます。 ■要素(1)営利性はあるか? 副業でも営利目的の事業として、利益をあげるために活動していれば、営利性はあると言えます。 【判定1】で事業所得と判定できなかったということは、まだ副業の収入が低いか、収入は高くても経費が多くて赤字が続いているかのどちらかです。 しかし、今は儲かっていなくても、儲かるビジネスにするために活動していて、先々儲かる可能性があれば事業と呼ぶことはできるでしょう。 本業で事業を行っている人でも、起業当初から儲けることができないのはよくある話です。 一方で、半分趣味の活動なので利益が出ないような友達価格で販売しているとか、どんどん経費を注ぎ込んで多額の赤字がずっと続いている場合など、営利目的ではなく楽しむことや節税を目的として活動していると、事業とは呼べません。 ■要素(2)継続性はあるか? 副業でも事業として継続的に取り組んでいて、活動期間が長かったり、取引の回数が多かったりすれば、事業と呼ぶことはできます。 一方で、たまにしか活動していないときや、単発で収入があっただけの場合、あるいは何の届出も広報活動もしていないとか、事業を継続する意思がみられないような場合は、事業とは呼べないでしょう。 ■要素(3)独立性はあるか? 副業でも自分で企画を考えて、帳簿付や収支計算もして、事業に必要な人材や設備を揃えるなどしていれば、独立して事業運営をしていると言えるでしょう。 しかし、他人が企画した事業を手伝っているだけで収支も把握できていない場合や、人材や設備を他人に用意してもらっているような場合は、自分が責任者として、独立して事業を行っているとは言えません。 ■要素(4)社会的地位や職歴はどのようなものか? 本業における社会的地位が高く、それに対して副業の事業主としての社会的地位が確立できていないような状態だと、副業は事業と呼べるほどの規模ではないと判断される可能性が高まります。 例えば本業が会社の代表取締役で、収入も大半が本業の役員報酬である人が、本業とは全然関係がない副業を始めて、わずかな収入を得たとしましょう。 この場合、代表取締役ほどの地位にある人が副業にそれほど注力できるはずはないと、副業は事業と呼べるほど成長しないと判断されてしまう可能性が高いです。 しかし、副業と本業のつながりが強く、その人の現在の社会的地位や過去の職歴を利用して拡大できそうなものであれば、事業として認めてもらえるかもしれません。 税理士で元塾講師の私が、副業で経営塾を始めたとしたら、事業として認めてもらえそうですが、私が副業でハンドメイド作家を始めたところで、誰も事業とは認めないでしょう。 ■要素(5)生活状況はどのようなものか? 例え本業が忙しくても、空き時間の大半は副業をしている場合など、精神的・肉体的労力を副業に注ぎ込む生活ができていれば、事業と呼ぶことはできるでしょう。 一方で、趣味や勉強、子育てなどに忙しく、副業にあまり時間を使えていない、労力を割けていない状況があれば、事業をしているとまでは言えません。 副業で稼ぎたいと一生懸命頑張っている人であればそんなに心配いりませんが、副業に本腰を入れられていないような状態であれば要注意です。