東武線「群馬の玄関」川俣と茂林寺前に何がある? 伊勢崎線が本領を発揮する「利根川を渡った先」
世に流布する分福茶釜のお話は、これをもとに脚色されたものがほとんど。ただ、共通しているのは湯が尽きない不思議な茶釜と人を化かす狸の物語、ということだ。そんなわけで、茂林寺前駅の駅前にも、狸の置物が鎮座する。信楽焼でよく見かけるアレだ。そして、そのまま駅前の道を案内板に従って進んで行くと、狸に化かされてどこかへ……ではなく茂林寺へ。 ■映画の舞台になった ちなみに、分福茶釜や茂林寺、そして茂林寺前駅は、1963年に公開された映画『喜劇 駅前茶釜』に呑福茶釜・呑福寺として登場している。森繁久弥やフランキー堺が出演するドタバタ喜劇で、時代を感じるナンセンスなシーンも目白押し。そして、その中では門前町も描かれている。
映画の中でのにぎわいぶりとは、いまはかけ離れたものだ。それでも、分福茶釜と茂林寺の存在感が損なわれることはないだろう。少なくとも、この駅はいよいよこれから本格的にはじまる伊勢崎線の北関東の旅の入り口なのである。
鼠入 昌史 :ライター