あなたの知らない札幌《市中央図書館》前編 ネットと書籍の“限界”を補完
【北海道・札幌】人口200万人の声も聞こえる北の大都市・札幌。その札幌には、多くの観光地や名物施設があります。とはいえ、札幌市民ですらそれらのすべてを知っているわけではありません。そこで不定期連載として「あなたの知らない札幌」と題した企画をスタート。第3回前編は、1950(昭和25)年に開館した市立札幌図書館の流れをくむ札幌市中央図書館(札幌市中央区)の変遷を、同図書館に30年近く在籍する千葉真館長に聞きました。(構成/橋場了吾) 【写真】あなたの知らない札幌《北海道開拓の村》前編 150年の時をタイムトリップ
開館66年、現在は貸出のオンラインシステムも
札幌市中央図書館は、1950年に開館した市立札幌図書館が前進です。当時は札幌市時計台にあり、蔵書数は1万3000冊。現在の蔵書数は90万冊近いので規模としては70分の1ほどですが、開館当時の資料を読むと、毎日オープンと同時に行列をなした学生たちが「我先に」と席を争っていたそうです。 それから17年後の1967年に「札幌市立図書館」と改称し中央区北2条西12丁目に移設、1979年に今の「札幌市中央図書館」と改称しました。現住所(中央区南22条西13丁目)に移設したのが1991(平成3)年ですから、今年で25年が経ちました。 実は、図書館には役割分担があります。札幌市には地区図書館・図書室が40施設あり、その中心としてこの図書館が存在しています。 現在の場所に移設したのは、札幌市の図書施設を統括するために、どうしても広い場所が必要だったことが挙げられます。移設と同時に、コンピュータ・オンライン・システムを完成させ、どの施設の蔵書でも希望する施設で貸出・返却できるようにしました。 例えば、読みたい本が最寄りのA図書館にはなく遠方のB図書館にある場合、Aに依頼すれば数日後にはBからAに届き、そこで貸出・返却が出来るようになったというわけです。その最たるものが、2006年にオープンした中央図書館大通カウンター。地下鉄大通駅内に、図書館の蔵書の貸出・返却を専門に行う施設をオープンしたことで、利便性が飛躍的に上がったと思います。