「真珠を入れるわけがない」KADOKAWA元会長が明かす収監時の身体検査と独居房のトイレ、8501番「名乗ったのは…ささやかな抵抗でした」
「この年になっても、このうえなく恥ずかしい」
“ここにも昔のように入れ墨をいれたヤクザのお兄ちゃんばかりじゃなく、角川さんのような一般の人も入ってくるようになりました。拘置所も変わらないといけません” 拘置所で働く人の中にも、今のままじゃいけないと思っている人はけっこういるんだと思います」 ――拘置所の生活で一番、ツラかったことは何でしょうか。 「僕は心臓に持病があって、3年前には手術も受けています。拘置所にいる間に何度も倒れ、病院棟に移されたり、検査入院したりしました。体調の悪化によって体重も著しく減り、出所する頃には逮捕されたときより15キロ近く減っていました。 でも、そうした苦痛以上に精神的にツラかったのは、独居房のトイレが廊下から丸見えなことでした。東京拘置所を紹介した本には、衝立があると書かれたものもあるけど、僕の部屋にはなかった。病院棟も作りは同じです。つまり、廊下を通る医師や看護師から、便座に座っている僕の姿は丸見え。しかも、病院棟の看護師には女性が多いわけです。この年になっても、便座に座って排便している姿を女性に見られるのは、このうえなく恥ずかしい。こうやって自尊心をズタズタにするのも『人質司法』のやり口なんです」 (文責/米谷紳之介) 角川歴彦(かどかわ つぐひこ) 1943年9月1日、東京都生まれ。66年3月に早稲田大学政治経済学部を卒業後、父・角川源義の興した角川書店に入社。「ザテレビジョン」「東京ウォーカー」などの情報誌を創刊し、93年の社長就任後はゲームやインターネットの可能性にいち早く注目してメディアミックスを進め、KADOKAWA(2002年に会長兼CEO就任、13年に商号をKADOKAWAに変更)を三大出版社(講談社・集英社・小学館)に対抗する出版社に育て上げた。22年9月14日、東京五輪のスポンサー選定を巡る汚職事件で逮捕。翌23年4月27日に保釈が認められるまでの226日間、勾留され続けた。24年6月27日、日本の「人質司法」の非人道性や違法性を世に問うべく、国を提訴。同日、手記『人間の証明 勾留226日と私の生存権について』(リトルモア)を出版した。同10月8日に、東京五輪の汚職事件の初公判がはじまった。 米谷紳之介
米谷紳之介
【関連記事】
- ■続きはコチラ 「生きている間は出られません」KADOKAWA元会長が明かす拘置所の医者の言葉と「愛おしい」独居房の隣人、「絶望で震えた」朝の不思議な体験
- ■【画像】「2万冊の本が大きな本に!」KADOKAWA元会長・角川歴彦氏の新事業
- ■記事1本目はコチラ 「一歩どころか半歩の差だった」KADOKAWA元会長が語る突然の逮捕と「踏みとどまった」虚偽の自白、「死地を脱した」日のケヴィン・コスナー
- ■『SMAP×SMAP』放送作家20年の鈴木おさむが語るタクヤ「渋谷パルコ前」事件と「オレが中居だ」騒動、息子に伝えたい『アルマゲドン』
- ■「ヒカキンは誰よりも優しい」所属事務所の鎌田和樹元会長だけが知る大スター「誰も言えない」一面と「失くした財布」、卒業と「名前のない仕事」