大の里、師匠と7分間のぶつかり稽古 砂まみれになり「押すことができなかったが、いい稽古ができた」
新大関大の里(24)は30日、大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)へ向け、福岡市内の二所ノ関部屋で十両白熊(25)や幕下力士らと計12番取って9勝3敗だった。大の里は27日まで行われた秋巡業を「アデノウイルス感染症」による体調不良で巡業半ばから離脱。相撲を取る稽古は約半月ぶりだったが、不安を打ち消した。ぶつかり稽古では師匠の二所ノ関親方(38)=元横綱稀勢の里=が胸を出し、何度も土俵へ転がされて砂まみれになった。 背中、肩や腹回りも砂まみれ。そこで立ち上がる大の里から、気合がほとばしる。秋巡業からの途中離脱で一年納めの場所への影響も懸念されたが、心配を打ち消した。 「親方とのぶつかりでは押すことができなかったが、初日に向けていい稽古ができた」 白まわしを締めた師匠の胸をかりたぶつかり稽古は、7分間続いた。疲れて押し込むことができなくなると、首根っこを持たれて引っ張り回され、腕を首に巻かれて土俵へたたきつけられ、何度も転がされた。 本場所前の稽古で、二所ノ関親方が大の里と肌を合わせることは珍しくない。9月の秋場所前は三番稽古(同じ相手と何度も取る)で連続17番取り、7月の名古屋場所前もぶつかり稽古で胸を出した。 部屋の関取は大の里と白熊の2人。番付社会にあって、下位力士が基本のぶつかり稽古で何度も大関を転がす光景はあまりみられない。遠慮なく、砂まみれにできるのは横綱だった師匠の愛情でもある。 そして、大の里は「体は完全復活している。(初日まで)限られた時間しかない。体力が落ちて、なまった体を戻していく」。師匠との稽古で、場所へ向けた〝現在地〟を確かめる。(奥村展也)