野茂英雄がバースデー完封勝利を目前に緊急降板…メジャー1年目の夏に始まった“爪問題”「割れた原因ですか? それは、僕が投手だからです」
野茂の次の登板は、まだ分からないよ
翌6日、試合前のドジャースタジアムには、球団の要請で外科医が往診にやって来た。ヤスリで爪の長さを一定に揃え、一部をカット。爪のはえ具合が揃うようにまず手入れを施した上で、その患部が悪化しないよう、専門医の治療も受けさせるという念の入れようだ。 9月8日からのピッツバーグ、シカゴ、セントルイスへの長期遠征は、10日間で9試合をこなすハードスケジュールだ。メジャーの先発ローテーションは基本的に中4日で、通常のスケジュールなら、野茂は同10日のパイレーツ戦に先発する流れだが、そのピッツバーグでの3連戦の先発予定から、野茂の名前は消えていた。 「野茂の次の登板は、まだ分からないよ。ただ、次のピッツバーグの先発はない」 投手コーチのデーブ・ウォーレスが教えてくれた3連戦の先発は、ラモン・マルチネス、ケビン・タパニ、トム・キャンディオッティだった。 野茂の“爪問題”を抱えての、長い旅の始まりだった。 <初回とあわせてお読みください> 【つづきは7月11日に公開予定です】
(「近鉄を過ぎ去ったトルネード」喜瀬雅則 = 文)
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