「草津町長と性行為をした」元町議の証言が虚偽認定 「性加害の告発」の際に人々が持つべき“無知の知”という視点
裁判の前に「民主的な力」が必要な場合
杉山弁護士:政治的な力は、ときに法廷で事実認定を行うような正当な手続の機会を奪うこともあります。 「推定無罪の原則」は、公権力や多数派といった「強者」による、弱者への蹂躙(じゅうりん)を防ぐための原理です。 被害の訴えがあろうと、告発を受けた者は捜査機関に対し反論し、あるいは黙秘しそして強制的に事実を決められないよう対抗しても良い。 ただ、逆に自らが力を用いて訴えを事実認定以外の手段で潰したりと、力で制することを肯定するものではないです。 基本的には、厳粛な事実認定の手続である裁判などを見守ることが理想です。しかし、裁判に至る前に、政治的な力がはたらく場合もあります。また、単に検察などの公的な機関の怠慢などにより、裁判への道が開かれない場合もあります。 そのような場合には、被害者への共感や連帯といった、民主的な力で対抗する必要も出てきます。しかし、それは「真実を知るために、裁判などの正当な手続への道を開く」ことを目的にした手段であることも意識しておく必要があります。歪みを正す以上の力を加えて、歪みを生んでしまってはいけません。 上記のような主張は、必ずしも弁護士としての一般論や「法律家ならかくあるべし」というものではありませんが、事件に直に接し、報道との差異をいつも感じている者として私が抱いている考えです。
弁護士JP編集部