一面の銀世界! 福岡県田川市にある国内首位の漆喰工場に潜入した
この生石灰に水を加えると、消石灰になります。岩田さんがコンベヤーの生石灰を拾い上げ、「不思議な反応が見られますよ」と水をかけました。すぐに「シュー」という音が聞こえ、熱と水蒸気を出しながら石が膨張していきます。ひびが入り、パラパラと崩れ、最後は粉状に。「これが消石灰です」。岩田さんが教えてくれました。
可能性をさらに追求!
漆喰は抗菌や防カビに優れているほか、目に見えない無数の孔(あな)があり、ニオイ成分を吸着したり、湿度をコントロールしたりする機能があります。 同社は、優れた機能を備えた漆喰を広めるため、現代の建物のデザインにも合う新商品を2003年に開発しました。それが、漆喰を使ったタイル「Limix(ライミックス)」です。
Limixは焼かずに作る世界初の漆喰タイル。真空の状態で消石灰の粉に約4000トンの圧力をかけて板状に成形し、炭酸ガスを吹きかけることで、大理石のように硬いセラミックになります。装飾もしやすく、「グッドデザイン賞」などを獲得しました。 この漆喰タイルは、東京の商業施設「渋谷ヒカリエ」や、関西地区の百貨店など、多くの人でにぎわう施設で採用されています。 田川産業は11月に創業100年を迎えます。大型連休には工場敷地にショールームを開設する予定で、「日本の伝統的な建材・漆喰の魅力を地元から発信し続けたい」と岩田さんは力を込めます。
読売新聞