俳優・作家の長井短 目指すは「この人がやっているなら自分にもやれるな」と思ってもらえる俳優
■イレギュラーな席を作っておきたい ――今後はどんな作品を書いていきたいですか。 ハリー・ポッターから物語、小説を好きになったので、いつか児童文学の世界観を描いてみたいと思います。 ――それは楽しみですね。ちなみに演じる仕事でお忙しいと思いますが、執筆時間はどうやって確保しているんでしょうか。 仕事の合間に書くのは難しいので、休みの日、仕事の後、時間がある時にちょっとずつパソコンに向かって書いています。ただ、なかなか決まった時間をとるのが難しくて。マネージャーさんにも「スケジュール的に無理があるのでは?」と言われてしまうときもあります。ただ「書きたい、書く」と言い出したのは私ですし、自分がやりたいことだから、それはもう無理してでも書きます。締め切りに向けて黙々と、時には「これを書き終わるまでは寝ない」と頑張って、朝方まで書いていることもあります。 ――これからどんな演者、どんな書き手になっていきたいですか。 私、物心ついたころから映画を見て「演じる人になりたい、俳優になりたい」と思ってきたんですね。ただ子どもの頃「自分はきれいじゃないから俳優にはなれないな」「きれいじゃないからこの役は演じられないな」とあきらめかけたこともあったんです。でも俳優ってきれいな人だけができる仕事ではないじゃない。この「きれいじゃないから俳優にはなれない」という気持ちにさせない、俳優になりたいです。「この人がやっているなら、自分も(俳優を)やれるな」と、見ている人に思ってもらえるような。できるだけイレギュラーな位置、席をつくっておくからね! といつも思っています。 書く仕事は、今後もできるだけたくさん書いていきたいです。私、小説を書くようになってから生きやすくなったんです。「納得できない、こんなのおかしい」と感じた心の中の小さな粒を、4万字(400字詰め原稿用紙100枚)にできることは自分にとってすごく救いになりました。だからこれからも書き続けていきたいです。 (構成/編集部・工藤早春) 舞台『ヴェニスの商人』 脚本:ウィリアム・シェイクスピア 訳:松岡和子 演出:森新太郎 出演:草彅剛 野村周平 佐久間由衣 大鶴佐助 長井短 華優希 小澤竜心 忍成修吾 他 東京公演:2024年12月6日(金)~22日(日) 日本青年館ホール 京都公演:2024年12月26日(木)~29日(日) 京都劇場 愛知公演:2025年1月6日(月)~10日(金)御園座 公式HP:https://venice-stage.jp/ ※AERAオンライン限定記事
工藤早春