「103万円の壁」見直しへ 自民税調が幹部会合 引き上げ幅が焦点
来年度の税制改正をめぐる与党の議論が6日、始まった。自民党側は、国民民主党が求めている減税案を受け入れ、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」を見直す方向で検討に入る。先の衆院選で少数与党となった自民が、国民民主の要求をどこまで受け入れるかが、年末にかけての議論の焦点となりそうだ。 【写真】「103万円の壁」悩むバイト 独自に壁を除いた会社に起きた変化 この日、自民の税制調査会(宮沢洋一会長)が非公式の幹部会合を開き、国民民主の提案を議論した。国民民主は過去30年の最低賃金の引き上げ率「1.73倍」を根拠に、現行の課税最低ラインである103万円を178万円に引き上げると主張する。国民民主の案をそのまま実施した場合、政府は国と地方をあわせて7兆~8兆円の税収減になると試算しており、税調幹部からは「物価上昇率で考えるのが筋だ」との指摘があり、その場合は1.1倍程度になるとみられる。 会合で出席者からは「(社会保険料が発生するラインの)106万円や130万円のほうが(パート労働者の働き控えにつながる)壁ではないか」といった意見も出た。また、ガソリン税の旧暫定税率分を引き下げる「トリガー条項」の扱いについても議論したという。宮沢氏は今後、国民民主側と「予断を持たずに意見交換をしなければいけない」と述べた。 一方、国民民主はこの日の党会合で、「103万円の壁」の解消などの恒久的な減税を求めつつ、先行実施できる政策は、石破政権が近く策定する経済対策に盛り込むよう求める方針を確認した。ガソリン補助金の延長や、能登半島地震で被災した道路の復旧、避難所に指定されている全国の体育館へのエアコン設置といった災害対策などが含まれる。
朝日新聞社