開業38年、地域唯一のスケート場が最後の営業開始へ 勤続30年スタッフ「寂しさある」
上田市が本年度限りで廃止する同市芳田の「市民の森スケート場」で16日、最後の営業が始まる。開業から38年。上小地域唯一のスケート場として市民らに親しまれてきた。長年製氷に携わるスタッフは廃止を惜しみつつ、「安全なリンクで楽しんでほしい」と作業に励んでいる。 【写真】12年前、親子連れでにぎわうスケート場。利用者の減少も廃止の理由になった
同スケート場では主に東信地方の高原野菜の農家が、冬の仕事として市の委託先企業の製氷スタッフを担う。菊池知生(ともお)さん(52)=小海町=は約30年勤める最古参。12日夕もリンクに開いた穴の補修作業などに当たり、「暖かい日が多くてコンディションは悪い。でも何とか仕上げますよ」と陽気に話した。 開業は1985(昭和60)年。菊池さんによると、平成初期は若者や子ども連れでにぎわい、休日は1日1500~2千人ほどが来場した。スケート人気が衰えた近年も毎週通う子どもがいる。スタッフ3年目の畑裕介さん(25)=同町=は「寒暖差が厳しい仕事だが、お客さんの笑顔を見られるのがやりがい」と笑う。 市は利用者の減少や老朽化した施設の大規模更新が必要なことから廃止を決めた。菊池さんは「最近は暖かい日が多いし、12月でも雨が降る。製氷が難しくなってきた」と話す。県内のスケート場が次々と姿を消す中、技術を生かせる次の職場はなかなかなさそうだという。 「主に子どもたちが使ってくれた施設なので、なくなる寂しさはある」。菊池さんは少ししんみりしつつ、リンク作りに集中する。ちりや砂が交じった氷は太陽光を吸収して緩みやすくなるため、注意深く不純物を取り除きながらの作業。「楽しいスケートは安全あってこそ」と力を込める。 営業は来年2月4日までの午前9時~午後4時半(大みそかと元日は休み)。今月16、17日は無料開放する(貸靴は有料)。17日午前9時~正午には閉館セレモニーを兼ねたイベント「市民の森スケート場まつり」がある。