「マッコリ王に俺はなる!」島根に移住した韓国人男性「生マッコリ」醸造所開設 地元・雲南のために奮闘中
山陰中央テレビ
米を原料にした韓国伝統の酒「マッコリ」の醸造所が、島根県雲南市にオープンしました。手がけたのは市内に移住した元クリエーターの韓国人男性で、おいしさに魅了された雲南の米をつかって「マッコリ」づくりに奮闘。目指すのは「マッコリ王」です。 5月に雲南市吉田町にオープンした、生マッコリの醸造所「OMONAYANGJO(オモナ ヤンジャ」。韓国の「コサ」という伝統儀式で開業を祝いました。「オモナ」は, 日本語では「あら」「まあ」など驚きを表す言葉。「ヤンジャ」は、韓国語で「醸造」のことです。自身がつくるマッコリのおいしさに驚いてほしいという思いを込めたそうです。 この醸造所を作ったのは、韓国・ソウル出身のソン・サンヒョンさん。日本語を学ぶため20年前に来日、東京などでゲームクリエイターとして働いていましたが、雲南市のIT経験のある地域おこし協力隊員募集に応募。6年前に移住してきました。 起業型地域おこし協力隊として、そのソンさんが作るのは「生マッコリ」。米を原料に作る韓国の伝統酒「マッコリ」は、通常火入れをして殺菌処理されていますが、「生マッコリ」は火入れをしていないため、乳酸菌や食物繊維などの有用成分が多く含まれ、美容や健康にも良いとされています。ゲームクリエーターで、もともと食にあまり興味がなかったというサンヒョンさんが、そんな「マッコリ」づくりを始めたわけは…。 ソン・サンヒョンさん: 雲南に来て初めて米の美味しさを知った。 雲南市に移住し、地元の食、中でも雲南産のお米のとりこになったそうです。ただ雲南市でも高齢化による後継者不足など、農業は苦境に立たされています。そこで農家を助け、おいしい雲南の米を作り続けてもらえるよう、米が原料の生マッコリの製造を思い立ちました。 ソン・サンヒョンさん: “マッコリ王”になることですね。 ただサンヒョンさんは、実はお酒が苦手。泳げないけど“海賊王”をめざすあのキャラクターになぞらえて、飲めないけれど“マッコリ王”をめざすことにしました。 ソン・サンヒョンさん: 免許の申請も全部自分1人で調べて行った。お酒は大変だという話はたくさん聞いていた。 生マッコリの製造には免許が必要で、2年がかりで準備し、2024年5月に取得しました。サンヒョンさんの生マッコリで使われる原料の米は雲南市産100%。これを蒸し上げ、小麦麹を加えてかき混ぜます。 ソン・サンヒョンさん: 手の温度で小麦麹の温度を高くします。10分くらい、材料によっては30分くらい作業をする。 これを25℃に保った保管室で寝かせ、発酵させます。 ソン・サンヒョンさん: 発酵時間が短いと分解されていない米が残っているので甘い。発酵が長くなればなるほどアルコール度数は高くなりドライになる。 発酵させる期間は1週間から3か月ほど。時間の長さによって味わいも変わります。本場韓国で修業したものの、独立して初めての仕込みに臨むサンヒョンさん。 心強いマッコリ仲間が支えてくれます。 ソン・サンヒョンさん: “ナミ”こと“ナギョン”さんです。 韓国伝統酒のソムリエの資格をもつ“ナギョン”さんがサポートします。 サンヒョンさんは、醸造所から車で15分ほどの所で「マッコリバー」を経営。雲南市の米からつくった生マッコリなどを提供しています。サンヒョンさんの思いが詰まった生マッコリは、8月から雲南市の道の駅やインターネットなどで約1000本を販売する予定で、醸造所では生マッコリ造りを体験する機会も設けることにしています。 ソン・サンヒョンさん: “マッコリ王”に俺はなる! 雲南のお米で作った「あっ」と言わせるマッコリを!サンヒョンさんの奮闘の日々が続きます。
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