モヤモヤした気分を劇的に変える「和の習慣」6つ 仏教から学ぶリフレッシュ法・ストレス対処法
都会であっても、一歩外に出れば、自然が息づいています。確実に春夏秋冬がくり返されています。 冬は寒さを、夏は暑さを、秋は涼しさを、春は温もりを体で感じることができます。移ろう四季を映す草木や花々に心が癒やされます。みるみる生気が漲ってくることでしょう。 自然には、私たち人間が日常的にため込んでいるストレスを吸収し、“無毒化”してくれる作用がある。オン・オフを切り替える機能がある。日々、自分のお寺を含むさまざまな庭で長い時間を過ごす私は、そう実感しています。
坐禅を組んでみる――心身の最高のリフレッシュ法 私たち禅僧は日常的に坐禅をしています。坐禅は心を落ち着けたり、精神を鍛えたりすることができる最善の修行。だからこそ一般の人にも、坐禅習慣を持つことをおすすめしたいのです。 坐禅は「調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)」といって、姿勢と呼吸と心を整えることを重視しています。 「調身」とは、横から見て背骨がS字を描き、尾てい骨と頭のてっぺんが一直線になるよう、姿勢を正して座ること。また「調息」とは、1分間に3~4回程度のゆっくりとした呼吸をすること。
この「調身」「調息」がうまくできれば「調心」、心が自然と整います。できれば坐禅会などに参加し、正しいやり方を覚えてください。 そうして朝晩2回、10分でいいから、坐禅の時間を持つといい。朝は心身の緊張がほぐれて自然と“活動モード”に入れます。夜は悩みや不安が消えてぐっすり眠れます。 また仕事に行き詰まったり、少し疲れたりしたときなども随時、1人になれる場所を見つけて、坐禅をしてみてください。心身がリフレッシュされ、オン・オフのいい切り替えになります。もちろん仕事効率も上がります。
■今日1日を無事に過ごすために 朝晩、手を合わせる――自分と向き合う時間を持ちたい 坐禅と合わせて朝晩の習慣にしていただきたいことがあります。それは仏壇などの前で「手を合わせる」ことです。 私は朝一番にお湯をわかし、香り高いお茶を入れて、「今日一番のお茶ですよ」とお供えします。そして仏さまに手を合わせ、心のなかでこんなふうにお話しします。 「今日も無事、朝目覚めることができました。ありがとうございます。今日はこういう予定があって、こんなことをしようと思っています。がんばります。どうか1日を無事に過ごせるようにお守りください」
こういうひとときを持つと、心が整理され、今日1日に向かう元気が出てきます。 また夜寝る前も、同じように、「おかげさまで無事に1日を終えることができました。見守ってくださり、ありがとうございました」などと話します。 いまは仏壇のない家庭も多いかと思いますが、部屋の一角に仏像や故人の写真を飾るなどして、仏さまと心の交流をする空間を設けてはいかがでしょうか。朝晩手を合わせるこの習慣を持つことにより、心健やかに1日を過ごせます。
枡野 俊明 :「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶