米11月PCE価格+2.4%に加速、個人消費が増加 前月比は落ち着き示唆
[ワシントン 20日 ロイター] - 米商務省が20日発表した11月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.4%上昇し、伸びは前月の2.3%から加速した。米経済の3分の2以上を占める個人消費が増加し、米経済の底堅さが改めて浮き彫りとなった。市場予想は2.5%上昇だった。 同時に、物価の「瞬間風速」を示すPCEの前月比は0.1%上昇と、伸びは10月の0.2%から鈍化。さらに、変動の大きい食品とエネルギーを除く基調インフレも前月比で6カ月ぶりの小幅な伸びとなった。 LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「所得増と資産価値上昇による資産効果が消費者に支出余力を与え、力強い消費需要を背景に経済は拡大を続けている」と指摘。「インフレは予想よりも穏やかだったが、一部の項目の『粘り強さ』は、米連邦準備理事会(FRB)が来年の大幅な利下げをためらっていることを裏付けている」と述べた。 FRBは今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利下げを実施。同時に、2025年の利下げ回数見通しを半減させ、今後の利下げペース鈍化を示唆した。 変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比2.8%上昇。前月も同じ幅で上昇していた。 前月比では0.1%上昇。前月の0.3%上昇から減速し、5月以来の小幅な伸びにとどまった。 FRBは物価の指標としてPCE価格指数に注目。ボストンカレッジのブライアン・ベスーン教授(経済学)は「ドル高を踏まえると、全般的なディスインフレ傾向は向こう2カ月は継続する」としながらも、「トランプ次期米政権が関税を大幅に引き上げ、各国が米国に対する報復措置を導入すれば、1970年代に匹敵するスタグフレーションが引き起こされる可能性がある」と警告した。 <個人消費0.4%増、個人所得0.3%増> 個人消費は前月比0.4%増。市場予想は0.5%増だった。前月は0.3%増と、速報値の0.4%増から下方改定された。 モノ、サービス双方で幅広い需要が見られ、モノは0.8%、サービスは0.2%、それぞれ増加した。 モノの消費は、ハリケーン被害を受けた地域で自動車の買い替えが進んだことを背景に新車がけん引。娯楽品や金融サービス、保険、衣料品、家具なども増加した。サービスの消費はレストラン・バー、ホテルなどの宿泊が増加した。 インフレ調整後の個人消費は0.3%増。伸びは前月の0.1%から加速した。 個人所得は0.3%増、賃金は0.6%上昇した。貯蓄率は4.4%と、10月の4.5%から低下した。