地域に愛される味。「トレカルム」(文京区・千石)の絶品モンブランとショートケーキ
地域に愛される味。「トレカルム」(文京区・千石)の絶品モンブランとショートケーキ
文京区・千石にあるケーキ屋さん「トレカルム」。国の特別名勝に指定されている「六義園」などがあるエリアで、自然豊かで下町らしい閑静な住宅街にお店を構えます。シェフ自ら店頭に立つ時もあるなど、2014年にオープンして以来、地域の方々を中心に絶大な人気を誇ります。中でも初めて訪れる方が目を引くお店の看板商品「モンブラン」は、メレンゲが外側にある独創的なデザインで数々のメディアでも取り上げられているほど。今回はそんなお店のオーナーシェフ木村忠彦さんを取材。素材の組み立て方やモンブランの誕生秘話、そしておすすめのケーキを紹介していきます。
実家の金物屋を改装してオープン。地域の方に愛される「トレカルム」
“地元の活気を取り戻したい”という想いから2014年文京区・千石にオープンした「トレカルム」。「当時栄えていた商店街が見る影もなくなっていました。地元でもある千石という地域で有名なお菓子屋さんは当時なかったこともあり、実家の金物屋を改装してお店をオープンしました。」と語るのは、オーナーシェフ木村さん。もともとフレンチのコックを目指していたんだとか…木村シェフ 「フランス料理は何が美味しくて、何が失敗なのか、根本的なところがわからず悩んでいました。その時の料理長に相談したらお菓子はどうだと言われパティシエの世界に入りました。」 ミシュラン一つ星のフレンチレストラン「銀座レカン」や惜しまれつつも閉館した「ホテル西洋銀座」でパティシエの基礎を学び、会員制のホテル「ウラク青山」でシェフパティシエとして腕を振った実力派。お店の名前は静かな商店街だったことから“穏やかな”という意味の「トレカルム」に。お店のデザインも目立つビビットカラーではなく、街の景観を残すためにベージュや白で穏やかな印象にされてます。都心にいながらも時間がゆったり流れているような店内には、こだわり詰まったケーキや焼き菓子が並んでいます。
コントラストを楽しむではなく、味のグラデーションを意識したケーキの数々
木村シェフ 「例えばチョコレートとレモンを組み合わせたら甘いものと酸っぱいものが組み合わさりますが、そういうコントラストが強すぎるのはあまり好きではなくて。そこの間にぼかしたような味が一つ欲しい。いきなり甘いものではなく、ぼかしながら酸味が辿り着くようなイメージでケーキを作っています。」 色に例えると黄色と黒を組み合わせると蜂のようなビビットカラーになるが、薄い茶色を入れることで少し柔らかな印象になります。トレカルムに並ぶケーキは、酸味とコクのコントラストをダイレクトに味わうのではなく、徐々に混じり合う優しい味わいのケーキが特長です。