「結局、総務部って何をやる部署なの?」…現役総務でさえパッと答えられない理由
総務部は、日本の企業・団体のほとんどに設置されている部署です。にもかかわらず、「総務部とはどんな役割や仕事があるのか?」と問われると、現役総務の人ですら満足に説明できないことが多いと感じる…。元「月刊総務」代表兼編集長である下條一郎氏は、このように語ります。とはいえ、総務部の業務分掌はあまりにも広く、説明が難しいというのも事実です。下條氏の著書『図解でわかる 総務部員の基礎知識』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
総務部は間接部門の要。会社の事務業務のすべてを取り扱う部門
総務という言葉は「会社・団体で全体の事務を統(す)べつかさどること。また、その職あるいは人」(『広辞苑』より)を意味します。 つまり、総務部は会社の事務業務のすべてを取り扱う部門ということになります。ただ、現在の「総務部」の業務領域を見ると、企業によって千差万別といえます。 会社組織というものは、企業を取り巻く環境によって変わっていくものです。総務部も例外ではありません。会社の規模が小さいうちは一部署で事足りたものの、規模が拡大し、事業が多様化するにつれ、総務業務も増殖化の一途をたどることになります。 そこで、業務ごとに課ができ、そのうち部として分離・独立していきます。 すなわち、会社組織の間接部門である人事部や経理部、広報部、法務部などは、ほとんど総務部から派生したものです。こうした分離・独立の形は企業ごとに違いがあります。 したがって、総務部の業務領域が企業により異なり、どんな形で専門業務が分化されるにせよ、総務部は「母体」として他の間接部門の要(かなめ)の位置にあり、社内で大きな影響力を持っています。 総務部の仕事は「雑用だ」「何でも屋だ」と言われることもありますが、それは言葉をかえれば、他部門の活動の下支えをしているということです。他部門もわからないことがあると何でも総務部に聞いてきます。間接部門の要として認識されているからこそです。