まるで『風立ちぬ』を連想させる!? 創業130年の歴史を持つ軽井沢の老舗ホテル「万平ホテル」はグランドオープンでどう変わった?
●建物も大規模リニュアール 冬でも楽しめる温泉付き客室に
軽井沢の歴史が詰まった万平ホテルは、2024年に創立130周年を迎えました。創立記念に向け一時休業し、大規模改修を実施。 ついに、10月2日にグランドオープンを果たしました。 このリニューアルによってどのような変化を遂げたのでしょうか。
これについて、前出の担当者は次のように話しています。 「『変わること』よりも 『変わらないこと』に重きを置いた改修となっています。数多くの賓客をもてなし、皆さまに愛されてきた「アルプス館」の外観は、ほとんど変えることなく補修を施し、元の姿を保っています。 ホテルエントランスの上に掲げられたホテル看板は創業当時から受け継がれたものをそのまま使い、ホテルを象徴するステンドグラスも一度外した上で嵌め直しています。 エントランスのドアやレセプション上の軽井沢彫りの鏡なども改修前のもの修復して使うなど、昔からあるものをなるべく引継ぎつつ、現代の要素を取り入れてアップデートすることにこだわりました」 一方で、館内に入ってすぐの印象は元のままでありつつ、奥へ進むにつれて新しい万平ホテルの一面を感じさせる造りにしたそうです。 客室で大きな変更点は、今回新築した愛宕館の30室は全室温泉付きになったという点です。 これまで夏の避暑リゾートのイメージが強かった万平ホテルですが、温泉があることで滞在スタイルも充実させ、一年を通して楽しめるホテルに変わっていくことを目指しているといいます。 本館であるアルプス館の客室は従来の和洋折衷の間取りをそのままに、“万平格子”とも呼ばれる特徴的な格子模様の入ったガラス障子や丸いペンダントライト、軽井沢彫の家具や猫足のバスタブで、変わらぬ姿を残しました。 碓氷館は新たにテラス付きの部屋が用意され、軽井沢の自然や空気を存分にとの楽しめるようになりました。 さらに、利便性・快適性も配慮され、エントランスの階段をなくしてバリアフリーに。 階段のみだったアルプス館にはエレベーターを新設。各客室及びダイニングルームの耐震・断熱性も高め、一年を通して快適に過ごせるよう改修されました。 前出の担当者は引き続き次のように話しています。 「従来からいらしていただいているお客様には「変わらない、帰ってきた」と思っていただき、初めていらしていただいたお客様には「古臭さを感じない、快適で居心地良い」と感じていただくことを念頭に改修を進めてまいりました。 既にお越しいただいている以前からの顧客の方々にも、「変わっていなくて安心した、さらに快適になっていて嬉しい」とのお声をいただき、こちらも安心しております」 さらに工事の面をみると、アルプス館は外観を可能な限り残すため、一度建物全体をジャッキアップして数10cm持ち上げ、耐震工事や修復を施した上で戻すという工程が踏まれています。 アルプス館前の植栽もなるべく元のものを生かして、極力伐採のないように配慮したとのこと。 エントランス上とメインダイニングルームを飾る大きなステンドグラスは、一度改修のために外して別の場所で保管した上で、元の場所に嵌め直されています。 これについては「当ホテルに息づく、簡単には作り出すことのできないクラシックホテルらしい雰囲気は、そういったところからも感じていただけるかと思います」と語っています。 ※ ※ ※ グランドオープン後の反響は、概ね良好とのことです。 建物の雰囲気が変わっても、変わらないスタッフで宿泊客を出迎え、130年紡がれてきたサービス精神のもと心からのもてなしが提供されています。 また、ジョン・レノンも訪れたというカフェテラスでは、アップルパイが昔からの定番メニューとして人気を集めています。 著名人を始め数々の人に愛された万平ホテルはグランドオープン後の今でも根強い人気に支持されているようです。
Peacock Blue K.K.