中日・高橋宏斗が見せた成長、「お前はきょうも遠足か」と冷やかされた自分はもういない 新庄ハムを7イニング無失点で今季3勝目
◇11日 日本ハム0―4中日(エスコンフィールド北海道) 初めて乗り込んだ敵地・エスコンフィールド北海道で竜の投打がガッチリかみ合った。中日は11日、日本生命セ・パ交流戦の日本ハム戦に4―0で快勝した。先発の高橋宏斗投手(21)が初体験のマウンドをものともせずに7イニング無失点の快投。打線も2本塁打で援護した。過去2年は6戦全敗だった天敵を破り、チームは2連勝となった。 北の大地にそびえ立った背番号19は、投球をひたすらエンジョイした。「本当に楽しかった。試合前から良い感覚で、試合運びもしっかりできました」。初めての球場で、プロ初対戦となる日本ハム打線を相手にゼロを並べ続けた。 思い切りも楽しめた。打線が1点を先制した直後の4回。前回登板のソフトバンク戦(バンテリンドームナゴヤ)から課題に挙げていたスプリットを微調整した。「3回までは前回と変わらなかった。競った展開をものにしたかったので、自分のなかで思い切っていろいろと変えました」。リリースの感覚などの微調整がうまくはまった。1死から水谷に死球、マルティネスに左翼フェンス直撃の二塁打で二、三塁のピンチ。2死満塁となって、最後は清水をスプリットで空振り三振。今季最速タイとなる157キロの直球とのコンビネーションで圧倒した。 7回2死二塁では、前日から警戒していた田宮を代打で迎えた。初球を右前に運ばれたが、岡林の好返球で本塁タッチアウト。「いい打者でした。もう1回対戦したいですね」。味方にも助けられ、7イニングを3安打、7奪三振。今季3勝目をつかんだ。 2年前に訪れた北海道は“遠足”だった。2022年6月7~12日のロッテ(ZOZOマリン)、日本ハム(札幌ドーム)のビジター6連戦、右腕は先発予定がなかったがチームに帯同した。当時は中10日ほどと登板間隔を空けていたため、練習で課されたのは過酷なランニングメニュー。「しんどかったですよ。みんなに『お前はきょうも遠足か』と言われました」。ちゃかされながらも、フェンス際をひたすら走った。 当時は19歳。先発の柱の大野、柳、小笠原に憧れ、同じように中6日で投げたい思いは強かった。「今は来年、再来年に向けての準備です。投げられるだけの信頼を勝ち取りたいです」と語った。あれから2年。才能は開花し、日本代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では世界一を経験。今やチームの顔だ。「相手打者の得意苦手が分かるようになった。考えて投球できるようになったと思います」。投げるだけで精いっぱいだったあの頃の自分はもういない。
中日スポーツ