【私の憧れの人】由美かおる、オードリー・ヘプバーンのように「心からやさしく美しくありたい」、人生の最後まで“社会貢献”を
さまざまな分野の最前線で活躍し人々の憧れのまとである人にも、目標にし、励まされ、時には手を取り合った「憧れの人」がいる。人生を輝かせた「あの人への思い」をインタビューした。 【そっくり写真】バレエ姿を披露するオードリー・ヘプバーンと、クラシックバレエでポーズを決める由美かおる
アン王女を演じる彼女のたたたずまいと妖精のような愛らしさ
「憧れの人は、女優のオードリー・ヘプバーン。『ローマの休日』を見て、なんて素敵な人だろうって」 そう笑顔で語るのは俳優の由美かおる(73才)。人気時代劇『水戸黄門』(TBS系)の「かげろうお銀」役などで知られ、70才を超えたいまなお変わらぬ美貌で、女性たちの「憧れ」であり続ける。そんな由美が芸能界デビューしたのは中学3年生のとき。当時から彼女のアイドルだったのがオードリーだ。 「知人に“オードリーに似ているね”と言われたのがうれしくて、初めて『ローマの休日』を見たんです。そうしたら、アン王女を演じる彼女の堂々としたたたずまいと妖精のように可憐な愛らしさ、体中から光を放つような雰囲気に圧倒されて、たちまちファンになりました」(由美・以下同) デビュー当時の15才から変わらぬ体形・体重で、70代のいまでもミニスカートがばっちりキマる由美。美貌と驚異のプロポーションを長年保てているのも、実はオードリーがお手本だったから。 「映画『ティファニーで朝食を』で着ていたフランスのファッションブランド・ジバンシィのシンプルな黒のドレスは、スリムなオードリーだからこそ、余計な飾りがいらず、美しさを引き立てていると感じました。年齢を重ねてからもチャーミングで上品な着こなしで、私もそうありたいと思った。 スタイルを維持するモチベーションを保つためにこれまでとは違うおしゃれをしようと、しばらくミニスカートは封印していましたが、70才からまたはき始めたんですよ。独自に考案した呼吸法の『由美ブリージング』を実践して、健康維持も心がけています」
オードリーとの共通点
そんな由美とオードリーには共通点がある。 「私は3才のときにクラシックバレエを習い始めましたが、彼女も5才からバレエを始めたと知り、親近感がわきました」 ほかにも、当時、アン王女のヘアスタイルをまねする若い女性が増えたり、オードリーが披露した「サブリナパンツ」で女性のパンツスタイルが浸透。同様に、由美が22才のときに出演したヒット映画『同棲時代』では、当時は珍しかった同棲が社会現象にまでなった。時代を超えて女性たちに大きな影響を与えてきた2人は、外見の美しさが注目されがち。だが由美は、オードリーの真の美しさは内面にこそ宿ると語る。 《魅力的な唇になるために、優しい言葉を話しなさい。愛らしい瞳を持つために、人のよいところを探しなさい。スリムな体形のためには、お腹をすかせた人に食べ物を分けてあげなさい》──これは由美が好きなオードリーの言葉だ。 「なんてやさしい言葉でしょう。両親が結婚と離婚を繰り返し、戦争も経験したオードリーは、女優としていろいろな役を演じるようになっても、実は『アンネの日記』のアンネ・フランク役は断っています。同じ国に住み、同じ年に生まれて同じ戦争を経験したアンネを演じて出演料をもらい、彼女の一生と死を自分の利益にすることはできない、という理由だそうです。 この頃はマリリン・モンローやエリザベス・テイラーなど、大スターはほかにもいましたが、私はオードリーのこのやさしさに惹かれます。そうして自分も、心からやさしく美しくありたいと思うのです」