「日経平均は10年以内に12万円になる!」伝説のファンドマネジャー・藤野英人が大胆予測!
――淘汰って、会社がなくなるってことですよね。そんな恐ろしいことが、なぜ海外投資家の買いにつながるの? 藤野 インフレの今、資材価格や人件費の上昇で中小企業は苦しいといわれています。経営者の能力が低い中小企業は、生産性が低く儲かっていません。そのため社員の給料を上げにくく、スキルアップのための研修といった投資も不十分。そのせいで人が雇いにくくなり、人手不足で倒産する会社が出てきています。 一方で、競争力のある商品やサービスを提供してしっかり利益を上げ、優秀な人材を集められる会社は着実に大きくなる。これが中小企業の淘汰と集約です。儲からない無数の中小企業がしっかり稼げる中堅企業に吸収されて、それが株式市場で投資家に見つかるわけです。 ――新陳代謝が進んだ結果、株価が上がると。 藤野 日本株には、何倍にも成長するポテンシャルを秘める銘柄が多くあります。それに比べて、米国株は巨大ハイテク企業の株価が上がっているだけ。どちらの伸びしろが大きいかといえば、明らかに日本株です。投資家はまだ様子を見ていますが、いずれ世界中の新たなお金が雪崩を打って日本に流れ込んでくるでしょう。 ――なるほど。好材料尽くしじゃないですか。 藤野 そうなんです。ただ、この実現を阻むリスクももちろんあります。 インフレによって企業は業績好調で賃上げも進んでいますが、実は消費が軟調なんです。もしかしたらこの調子で、給料が上がっても消費が盛り上がらず人々はお金をため込むばかりで、結果として物価と賃金の上昇サイクルが途切れてしまう可能性があります。そうなれば日本株も苦しくなるでしょう。 多くの日本人が増えた給料で旅行に行ったりおいしいものを食べたり、新しくモノを買って生活水準を上げたりするかどうか、正直そこは五分五分。来年以降も企業が業績を上げ、賃金アップを続けていけるかどうかにかかっています。 ■日経平均12万円時代はバラ色の未来ではない ――しかし、消費さえ追いつけば景気の好循環が始まるというのは明るい話ですね。 藤野 それが、日経平均が12万円を突破した未来がバラ色の社会かといえば、そんな単純な話でもないんです。