「日経平均は10年以内に12万円になる!」伝説のファンドマネジャー・藤野英人が大胆予測!
年始から急騰を始めた日経平均は、3月始めに史上初の4万円を突破。AIブームに乗った国内半導体製造装置メーカーが株式市場に上げ潮ムードを呼び込み、さらなる上昇をうかがう春を迎えている。 【書影】『「日経平均10万円」時代が来る!』 そんな折、人気の投資信託「ひふみシリーズ」の運用責任者で、預かり資産8000億円強を動かす藤野英人氏が「日経平均10万円」時代の到来を予告する書籍『「日経平均10万円」時代が来る!』を出版した。 彼によると、日経平均4万円はあくまでも通過点に過ぎないという。その真意を探るべく、彼の元を訪ねた。 ■インフレによる好循環が始まる ――新刊で、10年後には日経平均が10万円を超えているとの記述がありました。本気ですか? 藤野 う~ん、やっぱり見積もりが甘いと思います? ――平成バブルの崩壊から35年かけてやっと4万円です。ここからたった10年で10万円到達というのは、さすがに現実的じゃないんじゃないかと。 藤野 あ、そっちですか。実は正直、あの予測は控えめすぎたと思ってまして。 ――え? 藤野 本が出てから2ヵ月たちましたが、今は12万~16万円が本線です。 ――本気で言ってます? 藤野 ええ。株式投資の原理原則や経験則と、昨今の経済の流れを突き合わせてみれば当然のことです。そもそも、日経平均はこの10年で約2.7倍になったという実績があります。であれば、今後10年で日経平均が3~4倍になるといっても、そうとっぴな話ではないと思いませんか? ――まあ、そこだけ見たらそう言えなくもないけど......。 藤野 ここで強調しておきたいのが、新型コロナウイルスの発生で株式市場が大暴落した2020年3月の安値を起点にすると、日経平均がたった4年で約2.4倍にも上昇したことです。そしてこの間、株価に強く影響を与える重大な現象が世界中で起きました。それがインフレです。
――食料品やガソリンの値上がりが相次ぎましたね。 藤野 ええ。日本は長いこと物価がじわじわと下がっていくデフレに苦しんでいましたが、一昨年から物価の急上昇が始まりました。インフレの時代はあらゆるモノやサービスの単価が上がりますから、それに伴って企業の売り上げが伸び、企業利益に跳ね返って株価が上がりやすくなるんです。 ■日経平均12万円を阻むリスク要因 ――なるほど。ただ、インフレで株価が上がっている一方で、われわれの給料は株価ほど勢いよく上がっていません。なぜ株だけこんなに好調なんですか? 藤野 そこは大事な論点ですね。賃金や生活の話は後でするとして、今後の株価上昇が期待できる理由に、世界中の投資家が日本株を見直しつつあり、投資資金の流入が始まっていることがあります。日本株には海外投資家に好まれやすいテーマがいろいろあるので、これからも好調は息長く続くでしょう。 ――具体的に言うと? 藤野 日本株は長年、海外投資家にはほぼ無視されていました。この4年で株価は上がっていたのですが、同時期に「マグニフィセント7」と呼ばれる巨大ハイテク企業に牽引されて、米国株が絶好調だったので見過ごされていたんです。アップルやアマゾン、グーグル、エヌビディアといった世界経済を動かす7人衆に比べて、日本企業は地味でした。 それがここにきて、東証が推進するPBR改革をきっかけに、世界の投資家は日本企業が本気で株価を上げにきているという印象を持つようになりました。日本の上場企業がダブついている資産や現金を株主に配当として還元したり、投資に回したりして体質改善に励んでいることが理解されてきたのです。 ――努力が認められてきた、ということですか。 藤野 はい。このほかにも、AIや宇宙関連、世界の資源問題の解決などを事業としたベンチャー企業の上場も増えていくでしょうし、中小企業の淘汰と集約も注目の投資テーマになるでしょうね。