寺尾聰、16年ぶり主演映画で松坂桃李と親子役 小泉徳宏監督「父と僕の終わらない歌」に豪華キャスト結集
俳優で歌手の寺尾聰が、小泉徳宏監督の最新作「父と僕の終わらない歌」(2025年5月23日公開)に主演し、松坂桃李と親子役を演じていることがわかった。寺尾が映画で主演するのは、「さまよう刃」(09)以来16年ぶりとなる。 今作が製作されるきっかけとなったのは、YouTubeに投稿された1本の動画にある。16年のイギリス、ドライブの車中で楽しそうに歌う父と息子。助手席に座り、抜群の歌唱力で伸びやかに歌い上げる父テッド・マクダーモットは、アルツハイマー型認知症を患っている。この動画は同じ境遇にある世界中の家族に感動と希望を与え、再生回数は6000万回以上を記録。これがきっかけとなり、父テッドは80歳にしてCDデビューを果たし、イギリス最高齢の新人歌手となった。 この実話をもとに、「ちはやふる」シリーズなどで知られる小泉監督が、横須賀で暮らす父と息子に設定を置き換えて映画化。それぞれの愛と葛藤、家族や友人たちに支えられながら、アルツハイマーの父が若き日に諦めたレコードデビューの夢を再び叶えようとするまでの物語を描く。 77歳になった現在も俳優、歌手として第一線に立ち続ける寺尾が演じるのは、音楽とユーモアをこよなく愛し、生まれ育った横須賀で楽器店を営む父・間宮哲太(まみや・てった)。当初は出演するか迷ったというが、息子役が松坂と聞き翻意。そして、「俳優と歌手人生が初めて交わる作品で、こんなにも素晴らしい人たちと出会えたことに感謝」と強い思いをにじませる。 一方、父を支え続ける息子の間宮雄太に扮した松坂は、寺尾との共演に関して「今回、寺尾さんの息子を演じられたことは、僕の中では本当に誇りです」と感慨無量の様子。本編では、ナイーブさと優しさを併せ持つ確かな演技力で、病気の父を前に不安に揺れながらも寄り添う息子を熱演した。 今作には、脚本に惚れ込んで錚々(そうそう)たる俳優陣が結集している。チャーミングで茶目っ気のある哲太の妻で裕太の母・間宮律子を松坂慶子が演じているほか、間宮家を取り巻く横須賀の人々に佐藤栞里、副島淳、大島美幸(森三中)、三宅裕司、石倉三郎、齋藤飛鳥、佐藤浩市ら豪華な面々が扮し、脇を固めている。 今回の発表に合わせて、ポスタービジュアルと特報映像(https://youtu.be/i5jsrZsGMu0)も初公開された。横須賀の海辺を背景にしたポスターには、“記憶をなくしても、愛は残る―”という力強いコピーとともに、父子が満面の笑みで寄り添う姿を確認することができる。1月10日から全国の劇場で流れる特報映像は、「大好きな歌を歌う時だけ、いつもの父さんが戻ってくる」という言葉とともに、カーステレオから流れる音楽に合わせて楽しそうに歌う父の様子を撮影し、SNSで世界中に拡散されていく模様が映し出される。「スマイル、サン。ジャストスマイル」という父の言葉の持つ意味とは……。 なお、寺尾と松坂、小泉監督のコメント全文は以下の通り。 ■寺尾聰 この作品は、俳優と歌手人生が初めて交わる、自分にとってメモリアルな作品です。正直、最初はこの作品を受けるべきか悩みましたが、息子役が桃李と聞いて、桃李とならやってみたいと、だんだんと心が動いていきました。どの作品にも充実感はあるのですが、この作品だけはちょっと違う充実感で、この歳で、こんなにも情熱を注げられるものに出会えたことに感謝しています。 ■松坂桃李 横須賀が舞台の本作。横須賀の独特な、他にはない街並みの空気を味わいながら撮影できたことが印象的でした。今回、寺尾さんの息子を演じられたことは、僕の中では本当に誇りです。もし他の人がやっていたら、きっと悔しかったと思います。寺尾さんはいつも優しく包み込んでくれて、一緒にお芝居すると瞳に吸い込まれそうになる、そんな素敵な方です。この映画は、皆さん自身の家族の物語です。この映画によって希望を感じてもらえる瞬間がありますように。 ■小泉徳宏監督 「寺尾聰史上、最高傑作を目指します」と本人を前にして豪語したところからのスタートでした。数々の名作を思い返して、我ながら言い過ぎたとちょっと後悔しましたが、そういう気持ちで作ったことに嘘はありません。果たして私の妄言通りになっているかはともかく、寺尾聰さん、松坂桃李さんをはじめとした素晴らしい俳優陣とスタッフの大きな力をお借りして、楽しく、優しく、そしてどこか切ない素敵な作品が出来上がったと思います。皆さんにとってこの映画が『忘れられない』一本になることを願っています。