ストレス解消法は簡単、「赤ちゃんの呼吸」をマネするだけ!
私たちは1日に約2万回、何も考えずに呼吸をしている。赤ちゃんは最初のひと息めから自然に肋骨を広げ、胴を上下させて呼吸する。だが、そんなベストな呼吸をする本能的能力は、年齢や仕事のプレッシャー、情緒不安、姿勢の悪さ、サイズがきつい衣服などが負担となって衰えてくるそうだ。 【写真】ハーバード大の研究から判明!「睡眠の質」が一気に上がる11の方法 呼吸セラピーを実践している人は、長年のうちに身につけてしまった、そうした"マズイ呼吸"のしかたがストレスや不安を増大し、エネルギー値を低下させ、心肺の健康に影響を及ぼす原因だと考えている。赤ちゃん時代のような"正しい呼吸法"を再び学ぶだけで、それを改善できるという。 「息を吸ったり吐いたりすることが体のあらゆるシステムや機能と密接につながっています。それを適切に使う方法を理解すると、多くの点で生活の質を変えることができます」とXhale Breathworkの創業者リッチー・ボストックは言う。 元市職員で、Breathpodの創設者であるスチュアート・サンドマン氏は、呼吸パターンを変えるだけで、脳のストレス反応システムを簡単に“ハック”できると説明する。「ストレスの多い状況では、心拍数が上がり、呼吸が短く速くなります。息を吸うより吐く方が長いと、迷走神経が活性し、心拍数が遅くなります。このような落ち着いた状態になると、私たちはよりストレスフルな状況にうまく対応できるのです」 呼吸と感情の間には明確な関係がある、と彼は付け加える。「人間が他の哺乳類とは異なることの一つに、怒っているときや、腹立だしいニュースを見て涙をぐっとこらえるときなどに、息を止めているという点があります」。 筆者は、サンドマン氏と1対1のセッションに参加。“conscious connected breathing(意識的に結びつけた呼吸法)”と呼ばれる、アスリートから呼吸器疾患をもつ患者まで、彼があらゆる人に教えているという「深呼吸のセラピー」を受講した。 筆者はまず床に横たわり、口を開けて息を吸ったり吐いたりした。喉がとても乾くだけでなく、息を吐くときに胸郭が震えることに気づいた。サンドマン氏によると、それは横隔膜が閉じているサインで、筆者は自分で何もかもコントロールするのが好きな完璧主義者なのだそうだ。その次は、一息でできる限り長く叫びながら手足をを激しく動かす“toning and movement(引き締めと動き)”という、なんだか赤ん坊のような、ちょっと恥ずかしいセッションが続く。 「これらのテクニックは体を高振動させます。私たちはストレス、怒り、恐怖など、感情によって異なる波動を持っています。こうした感情は自然な平和や喜びよりも密度が高いので、呼吸を使って体内振動を作りだすと、長い間閉鎖されていたスペースに息を吹き込むことができるのです」と彼は説明した。 実際、このセッションの参加者は感情が抑えきれずに泣いたり笑ったり、あるいは埋もれていたトラウマを掘り起こすことができるようで、パニック障害や不眠、不安、痛みなど個人が抱える様々な問題解決に、大いに役立つクラスと言われている。筆者は自分自身の何か感情的な閃きが得られることを期待していたのだが、残念ながらそういった収穫はなし。ただ、明らかに変わったのは、胸郭の震えがなくなり、ほんの少しお酒を飲んだ時のような心地よい感覚を感じた。 そして何より、その夜は数週間ぶりにぐっすりと熟睡できた。
from Harper's BAZAAR UK