崎山つばさ「役者としての一つの目標だった」“明治座に立つ”ことへのプレッシャーと特別な思い
ーヴィジュアルインタビュー誌『with』から、増刊号・新MOOKシリーズ『with BOYFRIEND』が創刊しました! 雑誌に掲載されている崎山つばささんのインタビューの一部を抜粋してお届けしますー 高橋文哉が明かした「信頼できる人の条件」 大注目俳優を解き明かす11のキーワード 2・5次元作品を出発点として、ミュージカル『刀剣乱舞』や舞台『幽☆遊☆白書』など、多くの話題作に出演。近年は2・5次元以外のジャンルにも精力的に挑戦し、今回は明治座創業150周年記念『赤ひげ』で、初めて明治座の舞台に立つ。
医療や死生観をテーマに描く、伝える使命を強く感じる作品
「山本周五郎さんの小説が原作の『赤ひげ』は、黒澤明監督の映画も、船越英一郎さんが主演を務められているドラマシリーズも知っていますし、とても歴史ある作品なので、その歴史をしっかり紡いでいかなければいけないという使命感のようなものも感じています。しかも本作は、明治座創業150周年記念作品でもあり、プレッシャーに押しつぶされそう(笑)。役者として、明治座に立たせていただくのは一つの目標でもありますし、自分の名前が書かれた〝のぼり〟が立てられるのも嬉しいです。上演中は入り時間より早く行って、記念に写真を撮って、両親に送ろうかなと(笑)。ファンの方に見られたらちょっと恥ずかしいですが、それぐらい特別感がありますね」 役どころは小石川養生所の医長・新出去定、通称〝赤ひげ〟の下で働く若き医員・津川玄三。 「津川は皮肉屋で、噂好きだったり、面白い人ではあるけれど、本心がわかりにくく、摑みづらい人物でもある。そこをしっかり汲み取り、拾い上げて、役作りしていく必要があるなと。しかも、原作ではほぼ津川は出てこなくて、映画だと冒頭の30分くらいしか登場しない。今回は舞台版ならではの描き方なので、しっかり出てくるんですが(笑)。その分、津川という人物のヒントが少ないので、いろいろ想像しながら役に落とし込んでいきたいです」 主演を務めるのは、TVドラマ版で主人公の赤ひげを演じてきた船越英一郎さん。 「ビジュアル撮影のときに初めてお会いしたんですが、会った瞬間から、船越さんは赤ひげ先生で。正座で待ちたくなるような気持ちに(笑)。撮影中も、ポロッと赤ひげ先生の台詞を言ったりして、場を和ませてくれたんですが、赤ひげと津川が対面したらこんな感じなのかも、とイメージすることができて。それも津川を演じるうえでのヒントになるなと思いました。驚いたのが、船越さんは本作が舞台初出演で。ビジュアル撮影時、僕が『稽古でもいろいろと勉強させていただければと思います』と挨拶したら、『僕のほうこそ初めてなので、いろいろ勉強させてもらいます』と丁寧に返してくださって。こんな素敵な大先輩とご一緒できるのも貴重な経験だと思っています」 津川同様、養生所の若い見習い医師を演じるキャストには同世代の実力派が揃った。 「保本登役の新木(宏典)さんは僕にとってお兄ちゃんのような存在で。役者としても人としても男としても、いつもカッコいい背中を見せてくれるので、今回もその背中についていきたいなと。ただ、役柄では僕のほうが先輩で、ちょっと上から的な態度や物言いなので、そんな関係性を演じるのも楽しみです」 江戸時代の小石川養生所を舞台に、武骨で謎めいた医師・赤ひげや青年医師、貧しい患者たちとの魂の交流を描いた今作。 「津川は、医師として成長していく保本に感化されて、変化していく。そこは注目してほしい部分ですし、〝成長〟というのがこの物語の大きなテーマだと思うので、敏感にキャッチして演じていきたいです。あと、赤ひげ先生の言葉にもあるのですが、この作品の背景にあるものは〝貧困と無知との闘い〟。出てくる言葉も胸を締め付けられるようなものが多く、見てくださるお客さんにもしっかり伝えていかなければいけないなと思っています。この物語はフィクションですが、過去にはこのような問題があり、必死に生きていた人たちがいたことを知ってもらいたいし、現代でも貧困問題はあり、苦しんでいる子供たちがたくさんいる。そういったことも津川を通して、この作品を通して、僕たちが伝えるべき使命なんだと思いますね」 【崎山つばさ】 さきやまつばさ 2014年、舞台作品で俳優デビュー。翌年出演したミュージカル『刀剣乱舞』の石切丸役で注目を集める。以降、数々の舞台で主演を務め、映像作品にも出演。出演作にドラマ『科捜研の女』『遺留捜査』、映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』、舞台『怖い絵』(作・演出:鈴木おさむ) 『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』(演出:白井晃・脚本:中島かずき[劇団☆新感線])など。