ライバルを作ればレギュラーは発奮する。大城は原点に戻ってはい上がればいい/廣岡達朗コラム
阿部監督は投手を育てる捕手を使う
【廣岡達朗連載「やれ」と言える信念】 阪神が首位に立った。私の予想どおりだ。それでも私に言わせれば、まだ甘い。大山悠輔は四番としてのプライドを持て。一塁に走者が出たら挨拶する必要はない。 【選手データ】小林誠司 プロフィール・通算成績・試合速報 阪神よりさらに甘いのがほかの5球団である。 中日が一時的に首位に立ったのは、キャンプを適当に流していた分、4月はまだスタミナ十分だったからだ。案の定、負けが込んできて首位陥落。あれが真の姿だ。このまま負け続ければ、監督の責任問題が再燃。では次の監督候補が勉強しているかというと、そうではない。堂々巡りのまま中日の低迷期は続いてきた。良い選手がいるのに、もったいない。 DeNAの度会隆輝は元気がいい。しかし、新人の元気がいいから、そのチームの成績が良くなるのはおかしい。既存の選手たちはこれまで何をやっていたのかとなってしまう。 2021~22年にリーグ連覇したヤクルトは昨年5位に転落した。私はヤクルトの球団社長に「優勝できたのは投手が良かったからです。しかし、人間は年齢には逆らえません。次世代の投手を育てないと痛い目に遭います」と進言した。 私ならまず投手を作る。そこで必要なのはライバルの存在。ライバルがいるから人間は発奮するのだ。 そういう意味では巨人は今季、大城卓三からレギュラーの座を剥奪し、小林誠司と併用するようになった。岸田行倫を含めて3人で競わせている。原辰徳前監督は打力ばかり重視して大城を起用した。しかし阿部慎之助監督の方針は投手を育てる捕手を使うということだ。捕手出身だけに、分かっている。大城は捕手として原点に戻って這い上がればいい。
ヤマ勘打法ばかり
一方、巨人の打線はここにきて日替わりになってきた。 4月28日のDeNA戦(横浜)では、開幕から八番に置いてきた吉川尚輝を三番で起用した。坂本勇人はなぜ休養なのか。それでチームが優勝すると思っているのか。 開幕当初はオーダーを固定して戦いという監督の信念が垣間見えたが、最近はタガが外れたようだ。こんなに変えたら選手は大きく伸びない。 今日の先発はこの投手だからお役御免だなと思えば、その時点で勉強しなくなる。そうではなく、苦手な投手をいかに打ち砕くかを自分で考えなければいけない。それなのに、スコアラーのデータに頼ったヤマ勘打法ばかり。例えば、初球は真っすぐの傾向が多いと聞いて打席に入る。ヤマが当たれば打つ。感心しない。 4月20日の広島戦(マツダ広島)では12安打を放ちながら12残塁で2点止まり。阿部監督も嘆いていた。あれは各打者が自分の好きな方向へ打っている証拠だ。ウエーティングサークルで、「走者三塁なら外野フライで1点だ。高めは逃さない」ということを考えていない。強振しなくても芯にポンと当てれば打球は外野まで飛ぶ。それをエイヤッと振るから内野フライや三振。そういうことを評論家も見抜かなければいけない。