ドローン、寒空も飛べるはず 配送サービス実現へ南会津で実証事業 福島県
福島県は今月にも、会津の寒冷地でドローンを飛行させる初の実証事業を始める。氷点下の厳しい寒さの中でドローンを安定して飛行させるのは難しいとされているが、県内で実際に調べたデータはない。県は飛行可能な距離や有効な寒さ対策を探り、人口減少や高齢化が進む会津の中山間地域でドローンによる配送サービスの実現につなげる。 県によると、ドローンは低温だとバッテリーが急速に消耗したり、雪や氷でプロペラが凍結したりする可能性がある。このため市販のドローンの多くは推奨気温が0~40度に設定されている。 実証は南会津町の廃校を拠点にして行われる。近くの空き地などにドローンを自動飛行させ、飛行可能な距離や時間などを調べる。飛行前に屋内で機体を温めるといった寒さ対策の効果も確かめる。 同町の山間部では電波が届かない場所があるため、自動飛行中に通信が途切れることも課題の一つ。このため実証では、通信が途切れる場所や、飛行場所が一時的に把握できなくなっても目的地にたどり着けるかについても検証する。 実証には南相馬市のドローンメーカーが参加するほか、終了後に県内企業向けの報告会を開く。実証で集まったデータを共有し、「冬仕様」の機体開発に役立ててもらう狙いがある。 過疎化が進む会津の中山間地域にトラックで配送を続けるのは運転手らの負担が大きいため、県はドローンによる配送サービスを導入したい考え。ただ実現には1年を通じて安定して飛行できる仕組みづくりが欠かせない。国内では北海道でも検証が行われているが、県は「北海道とは気温や雪質が異なるので、県内の飛行データが必要だ。実証を通じて『福島モデル』を確立したい」(次世代産業課)としている。
福島民友新聞