阪神・井上のメンタルを向上させたコーチとの対話 打てる日と打てない日の差に変化
「DeNA3-4阪神」(10日、横浜スタジアム) 阪神・井上広大外野手(22)が1軍昇格即タイムリーを放った。六回、大山の適時打で2-1と勝ち越し、なお1死一、二塁から三塁強襲の痛烈な一打を放った。勝負の高卒5年目。レギュラー奪取を狙う若武者は試合日のルーティンを大切にしている。 ◇ ◇ 毎朝、鳴尾浜の室内練習場が井上と山崎2軍打撃コーチの特訓の場所になっていた。欠かしたことがない、試合日のルーティン。井上は朝の6時に起床し、車中で奥さんの手作りおにぎりを2つ食べながら球場へと向かう。そして、全体練習開始の1時間前から始動。打撃だけでなく、メンタルの整え方が大きなテーマだった。 山崎コーチが変えたかったのは「打てる日と打てない日のメンタルの差が激しい」こと。「クリーンアップを打つ人間がそうだと、チーム全体がブレるから」。井上にも丁寧に説明。打撃練習へと入る前、ストレッチをしながら対話をした。 「本塁打を打った時はみんないい。三振した姿や凡退した姿を見られてるんだよ」。昨季まではスランプに陥ると、わかりやすく落ち込んだ。でも、今年は違う。明らかに変化があった。 「悪くても1本出るとか、3三振しても気持ちが切れないとか…」。悪いなりの打席内容が送れるようになった。これは井上が1年目から追い求めていたこと。「あの四球は良かったですね」。打つことよりも四球に喜ぶことがよくあった。 昇格が決まっても「変わらずやれれば」と心の浮き沈みはなかった。この日も2打席凡退からの一打。打てなくてもへこまない、チャンスでも力まない。努力の結晶だ。鳴尾浜での積み重ねが実を結びつつある。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔)