相続税を「ゼロ」にすべき理由 所得税と〝二重課税の弊害〟目立つ 消費拡大や家族の助け、不動産を中国から守る策にも
【日本の解き方】 日本の相続税は、諸外国と比較しても高いとされる。格差是正の役割を果たしているといわれる相続税だが、「ゼロ」にすることのメリットを以下、紹介しよう。 【写真】「島を買った」とする中国人女性がSNSに投稿した動画 税理論からいえば、相続税・贈与税は、所得税と二重課税の関係だ。マイナンバーが軌道に乗ってくると、二重課税の弊害が目立つようになる。 つまり、相続税は、所得税によって所得格差を少なくすることを補完する役割だが、今はマイナンバーでしっかりした所得捕捉が可能なので、所得格差の是正は所得税に委ねて、相続税はゼロとすべきだ。 日本の相続税について、財務省の資料「主要国における相続税負担率の比較(配偶者+子2人)」では、ほぼゼロの米国や負担利率の低いドイツより高いものの、英国やフランスと比較すればそうでもないと主張している。だが、注書きなどを読み込めば、やはり日本は高いことがわかる。 二重課税の観点から、相続税のない国も珍しくない。例えば、先進国の中でも、カナダ、イタリア、スイス、オーストラリア、スウェーデンなどの国では相続税ゼロだ。 さらに、新型コロナ禍で萎縮した消費を活性化するためにも、相続税の対象になっている国民資産を一気に開放する政策も求められている。 また、老後の生活費を年金で賄える程度にしている人であれば、ある程度の生活をすることができるだろう。基本的には「ピンピンコロリ」がベストだ。つまり、元気な人は老後も仕事をし続けて、働けなくなったらコロリと逝くのがいい。 ただし、そうできない人もいる。そういう人が老後、家族で面倒をみてもらうことも加味すれば、相続税はゼロがいい。 さらに、最近の中国による日本の不動産購入の増加を見ると、かなり心配になる。相続税ゼロはその対策にもなる。 というのは、実は中国の相続税はゼロだ。土地などの生産手段が国有という建前がある中国では、基本的に不動産相続がないからだ。 このため、日本の不動産を購入しても、基本的に相続税負担がない。これは、個人で購入しても法人で購入しても同じだ。