米軍基地建設進む辺野古大浦湾で大量の「濁り水」発生 生物への影響に懸念強まる
改良工事の効果に疑問も
キャンプ・シュワブ北側一帯には「マヨネーズ状」と言われる軟弱地盤が存在し、防衛省は66万平方メートルの範囲に7万1000本の砂杭を打ち込んで地盤を固める計画だ。8月下旬から護岸を作るために必要な杭を打ち込む作業が始まるが、奥間氏は「工事で発生する濁り水の拡散を防ぐための汚濁防止膜が海面からわずか7メートルしかないため、土砂の外部流出は抑えられない」と話す。 「杭打ち作業の際に土砂が舞い上がる海底まで汚濁防止膜が届いていないため、周囲にダダ漏れになります。かといって海底まで設置すれば潮の流れで布製の幕がめくれるか引きちぎれてしまい、深いところまで膜の設置はできません。防衛省は濁り水を拡散させないとしていますが、そんな工事は現実的ではないのです」(奥間氏) 仮に軟弱地盤を改良して工事が完成したとしても、新基地はいくつもの大きなリスクを抱える。 「一つは砂杭の液状化です。固めた砂でも水中で振動が起きれば崩れる可能性がある。専門家が防衛省のデータをもとに分析したところ、震度1から3程度で護岸が崩れる可能性があることがわかりました。さらに新基地予定地の直下とその近くには2本の断層があることがわかっていて、地質学者は活断層だと指摘しています」(同) 新基地予定エリアの水深は最大で90メートル。しかし防衛省はその海面下90メートルまでの地盤強度を調べずに77メートル以深は固い層と判断。工事では70メートルまでしか砂杭を打たないため、地盤改良の効果を疑問視する声もでている。工費に9300億円の税金を投じて辺野古に新基地を造る意義がますます揺らいでいる。 ※mg/L=ミリグラムパーリットル:1リットルの中に含まれる対象物質のミリグラム数。
形山昌由・ジャーナリスト