シングル未勝利ながら遠藤有栖戦は「プロレス人生を懸けた大勝負」。長谷川美子の履歴書の裏面に刻まれた情念の根源【週刊プロレス】
ガンバレ☆プロレス年内最後のビッグショー、12・27「BAD COMMUNICATION 2023」後楽園ホール大会が目前に迫ってきた。当日は王者・木髙イサミ(プロレスリングBASARA)に勝村周一朗が挑戦するスピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級選手権試合がメインイベントでおこなわれる。 【写真】ガンジョ再始動の会見 また、かつてDDTを席巻したチームドリフ(石井慧介、入江茂弘、高尾蒼馬)がベルトをめぐって闘うKO-Dタッグタイトル戦(王者組が高尾&翔太)や、ガンプロvsGLEAT全面対抗5対5イリミネーションマッチ、丸坊主にされた復讐に燃える大家健と羆嵐の一騎打ちなど、今年の総決算にふさわしいカードがラインナップされている。その中で「プロレス人生を懸けた大勝負」に臨むのが、長谷川美子だ。 テレビ、舞台、映画などで活動するタレントだった長谷川がプロレスラーとしてデビューしたのは2019年11月。グラビアアイドルや女優経験者を集め、安納サオリ、万喜なつみ(現・なつぽい)、角田奈穂らを輩出した団体・Actwres girl’Zからキャリアをスタートさせた。 とはいうものの、これといった実績を上げぬうち首の圧迫骨折と頸椎椎間板ヘルニアにより2021年1月から欠場。その間、所属先がプロレス団体としての活動を終了すると、次なるステージとしてガンプロを選び、昨年7・10大田区総合体育館で入団を発表、8・13後楽園で再デビューを果たした。 間に長期欠場をはさみながらもキャリアは4年となるが、現時点でシングルマッチにおける自力勝利は一つもあげられずにいる。本来ならば“発言権”などない立場であるにもかかわらず今回、東京女子プロレスの遠藤有栖との一騎打ちを熱望し、実現へと漕ぎつけた。 両者は東京女子10・9たま未来メッセ大会にて6人タッグマッチで対戦。長谷川は、キャメルクラッチで遠藤にギブアップ負けを喫している。 それまでも東京女子の選手と絡む機会はあったが、雪辱戦をアピールしたのはこれが初めて。つまり長谷川の中で、その時の負けの味は今までとは違う舌ざわりだったことになる。 「その前にも東京女子さんとは、Actwres girl’Z時代の先輩である角田さんや、あとは鈴芽さんともシングルで対戦しました。その時も悔しい思いはしましたけど、遠藤さんに負けた時の試合は団体対抗戦の形だったんです。やっぱり、ガンジョの看板を背負いながら負けるっていうのは…しかもギブアップですから、自分で負けを選んでしまって。 最後、お互いの目が合った瞬間に『この人と1対1で闘いたい』と強く思いました。これは私の一方的な片思いだと思う。でも、それさえもストーリーの一部になるよう、これから遠藤さんとの物語を続けられるようにここは勝たなければと考えています」 ガンプロ所属の女子選手たちはガンバレ☆女子プロレス…ガンジョを名乗り、単独の大会をおこなうなど強いこだわりを持つ。東京女子のような独立した団体の形とは違うが、思い入れの深さはそれと同等…だから長谷川からは「看板」という言葉が自然に出た。 同じ女子プロレスでありながら、東京女子との間には明確な差がある。大会の規模、選手層、メディアへの露出…何もかもが比べ物にならぬほど違うステージは、長谷川の目にまぶしすぎる。 それまでは、ほかと比較するよりもガンジョという場を唯一無二の存在にしたいとの思いでやってきた。ところが東京女子と絡むうちに団体力の差を如実に感じ、否応なく意識の中へ入ってきた。そんなタイミングで迎えた対抗戦で負けたとあれば、未勝利だから発言権はないなどと言っていられなくなった。 そこから長谷川は、三島通義・ガンプロ相談役のストーカーと化す。「遠藤さんとのシングルを組んでください。ガンプロと東京女子、どちらのリングでもいいです!」と一度言っただけでは明確な回答を得られず、顔を合わせるたびに同じことを主張。